相手が日本となるとまるで戦争のような意気込みで挑んでくる韓国代表。実際、日本が優勝した野球の世界一決定戦・WBC前回大会でも、日本戦で李承ヨプ、金泰均が本塁打を打てば“克日砲”と叫ばれ、韓国のエース奉重根が先発すれば、伊藤博文を暗殺した安重根にちなんで「奉重根義士」と熱くなった。
もちろん今年も反日感情はむき出しだ。「WBCは命懸けで争う国家対抗戦、戦争だ」と克日砲の一人、李承ヨプがマスコミに語るなど、またも開幕前からヒートアップしているのだ。
両国代表が順調に1次ラウンドを通過すれば、3月8日から東京ドームで開催される第2ラウンドで激突する。
今回の日本代表は、海外組を欠き小粒だと危惧されている。では、韓国代表はどうかというと、同様に前評判は高くない。海外組は、オリックスの李大浩のみで、ベストメンバーと呼べる布陣ではない。
最大の弱点は、先発投手陣。北京五輪で日本を苦しめた金廣鉉、第2回WBCで日本から2勝を挙げた安重根義士こと奉重根が体調不良で辞退。このオフにLAドジャースにポスティング移籍した柳賢振もメジャーのキャンプを優先。韓国の誇るサウスポー3本柱が、一人もメンバーに名を連ねない異常事態なのだ。
打撃陣は、前出の李大浩に、日本球界にゆかりのある李承ヨプ、金泰均が加わり「巨砲3人衆」と呼ばれるなど重量感は十分。しかし、3人とも一塁手またはDHしかこなせないため、同時に出場できない。また、過去の国際大会で活躍した選手・チームに与えられた兵役免除の措置が今大会では見送られるので選手のモチベーションも上がらないだろう。
これに日本はどう対するべきか。要注意は李大浩と張ウォン三。李大浩は縦の変化球に弱く、日本での対戦で田中将大に抑えられている。ローテーション次第だが、張ウォン三に対しては、技巧派左腕を苦にしない内川聖一が打ち崩してくれるはず。マー君と内川。この二人がこの戦いの鍵を握りそうだ。
※週刊ポスト2013年3月15日号