スポーツ

「大谷翔平はまずは投手に専念すべき」 剛球受けた人物の評価

 投手、野手、いったいどっちで開幕を迎えるの!?
 
 現在開催中の野球の世界一決定戦・WBC以上に注目される日ハムの大谷翔平(18)だが、本人はどこ吹く風。「3番・右翼」で初スタメン初安打を記録した2月26日の広島戦。沸き立つ周囲をよそに「思ったよりあっという間。いい経験ができた」とサラッと受け流した。
 
 しかし、野球専門誌の人気企画「流しのブルペンキャッチャー」で、数多の有望アマチュア投手の球を受けてきたスポーツライター・安倍昌彦氏は手厳しい。
 
「日ハム首脳陣は大谷クンの将来を本当に考えているのか。二刀流調整が、逆に成長の可能性を狭めていることに気付いていない」
 
 安倍氏がここまで言い切るのにはワケがある。
 
 安倍氏が初めて大谷の球を受けたのは昨年春のこと。「球の出どころの高さに驚いた。単に背が高いだけでなく、肩胛骨の可動域が広い。頭の真上から投げ下ろされているような迫力があった」と非凡な才能に息をのんだ。だが、しなやかな投球フォームは投手にとって“諸刃の剣”でもあった。
 
「可動域の広い肩はダメージを及ぼす筋肉や骨、腱の範囲も広く、体にかける負担が大きい。慢性的に肩の故障を招く“ルーズショルダー”になりやすいんです。事実、大谷クンは高校時代から肩の故障に悩んでいました」
 
 かつて豪速球と高速スライダーを武器にヤクルトのエースとして活躍した伊藤智仁も、このルーズショルダーに悩まされ、選手生命は非常に短いものとなった。
 
 安倍氏は、投手としての寿命は約10年とみる。もちろん日常の練習や体のケアでそれを伸ばすことも可能というが、現在の二刀流調整ではそれもままならない。
 
「大谷クンの場合、投手として活躍できる時間は限られている。ならばまずは投手に専念すべき。それから打者に転向しても彼の才能ならば遅くはない」(同)

 二刀流挑戦を疑問視する声は多い。それは外部からではなく、チーム内部からも生まれているようだ。 日ハム番記者が明かす。
 
「球団首脳は投手と併用して遊撃手として使いたいと考えていた。でも最近は右翼手で起用を続けてコロッと方向転換。何の結果も残していないのに対外試合でスタメン起用した。迷惑なのは日ハムナイン。レギュラーを争う野手陣はポジション変更のたびに特別待遇される大谷に不満を露わにしています。マスコミ側からみれば格好のネタとなっている二刀流ですが、チームとしての損失も大きい」

 球界の宝の1年目を話題作りで終わらせてはならない。

※週刊ポスト2013年3月15日号

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