6000例以上の心臓手術を手がけ、成功率は98%という心臓外科の第一人者である順天堂大学医学部の天野篤教授が、その半生を語る一冊『一途一心、命をつなぐ』を出版した。
ほぼ1年前の2月、天皇陛下は心臓の冠動脈バイパス手術を受けられた。その執刀医が天野さんだ。
「心臓の手術は決して怖いものではありません。そのことを国民に広く教えてくださったのが、陛下です」(天野さん)
陛下は昨年12月の誕生日の記者会見で、「執刀をされた天野順天堂大学教授をはじめ、この手術に携わった関係者に深く感謝しています」と話されたが、天野さんは、それ以上に「陛下に深く感謝しております」と言葉をつなぐ。
「心臓の手術は、うまくいくと元気になって長生きされるかたがたくさんいるんですが、一般のかたは “手術を受けて、こんなに元気になった”と広く言う機会がありません。その点、陛下が手術をされてご健康を回復されたことで、手術がいかに重要なことかを知っていただけたんですから」
同時に彼は、陛下が、「東日本大震災1周年追悼式に出席したい」という強い希望を持たれて、手術を受けられ、リハビリに励まれたことに深い感銘を受けたという。
「ご自分で具体的な目標を定められて、それに向かってリハビリを頑張られた、そのことが素晴らしいんです」
目標を持つことと、リハビリに励む姿勢は、闘病するすべての人々のお手本となると語る。また、陛下に付き添われる美智子さまが、ご病状や手術について時間をかけて医師の話を聞かれ、納得されて手術に臨まれたことも印象に残ったという。
※女性セブン2013年3月21日号