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キン肉マン 失敗に学び進化する超人は企業人そのものと識者

 現代社会で生きるビジネスパーソンに必要なのは、まさに「努力・友情・勝利」のキーワードなのかもしれない。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が語る。

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 電子書籍の時代、有料メルマガの時代なんてことが言われ、毎年のように「今年こそ電子書籍元年」と言われていますが、私はすっかりさめていて、電子書籍は買いませんし、有料メルマガも中川淳一郎氏の『メルマガNEWSポストセブン』しかとっていません。

 そんな私が、唯一、毎週読んでいる「電子書籍」があります。それは、『週刊プレイボーイ』のサイト、「週プレNEWS」で連載されている『キン肉マン』です。そう、1980年代に社会現象になったあの作品の続編です。

 もともと『週刊プレイボーイ』では、続編として、キン肉マンの息子、キン肉万太郎が活躍する『キン肉マンⅡ世』が連載されていましたが、現在同サイトで連載されているものは、もともとの『キン肉マン』が終了した後の時代を描いています。完璧・無量大数軍が地球を襲ってきたという設定です。敵キャラは新キャラだらけですが、キン肉マン、テリーマンをはじめ、もともとのシリーズで活躍していた超人たちがそのまま登場するのがポイントです。

 『キン肉マン』は『週刊少年ジャンプ』の黄金期の一つと言われた80年代の作品です。少年時代、ハマっていた人たちが、現在は30〜40代になって、社会で活躍しています。完璧・無量大数軍は本当に強く、冷酷です。彼らに対して果敢に立ち向かうキン肉マンたちの姿は、企業社会で戦う私たちの姿と重なります。困難な環境であっても、諦めずに戦う彼らの姿は胸を打ちます。まさに、この頃の『週刊少年ジャンプ』のテーマだった「努力・友情・勝利」が描かれています。

 ブラック企業問題に代表されるように企業社会の環境は劣化しています。3月7日付の朝日新聞の報道では、3月6日には、参議院の代表質問で、共産党の山下芳生議員が「若者の能力を潰す“ブラック企業”の実態を調査すべきだ」と質問し、話題になりました。首相は「労基法違反が疑われる企業には調査に入り、長時間労働の抑制を指導し、重大な法違反は厳正に対処する。ブラック企業ではないかとの不安から若者が優良な中小企業に目を向けない状況を改善し、若者の労働支援を進める」と答弁しました。

 ブラック企業という言葉が問題提起されたことは大きな進歩ではありますが、それが政策に反映されるまでには時間がかかります。勤務先がブラック企業ではないとしても、私たちは先の見えない時代を生きています。苦しい環境をいきなり変えることはできないので、個人の努力はやはり必要なわけで。キン肉マンで描かれているような「努力・友情・勝利」は、企業社会を戦い抜くキーワードでもあるわけです。

 もう1つ、この新シリーズはビジネスパーソンが学ぶべきポイントがあります。それは、超人たちが過去の失敗から学び、進化していることです。戦闘中に回想シーンがかなり取り入れられ、過去の失敗や、新シリーズまでの間に起こったことなどが描かれています。例えば、「万年未完の大器」と言われてきたブロッケンJrの苦悩と、そこから抜け出すための努力などが伝えられていました。最近の連載で登場しているスプリングマンもそうです。PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルをまわし、戦う姿などは、ビジネスパーソンそのものですね。

 自分たちが忘れていた熱いもの、企業社会での日々を戦うヒントがいっぱいの作品です。ウェブで無料で読めますし、単行本にもなっているので、チェックしてみてくださいね。

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