国内

黒髪ブームで女性の「ヘアカラー離れ」が加速 美容室に打撃

“新いい女は「黒髪」主義”(『GINGER』4月号)、“だれがなんと言おうと、「日本女性は、髪ですから”(『Domani』4月号)――年齢層を問わず、最近の女性誌では“黒髪”企画が定番化しつつある。知花くららや竹内結子、石原さとみら、女性誌の表紙をたびたび飾る人気モデルや女優にも、美しい黒髪の持ち主が多い。

 そしていま、黒髪と言えば、この人だろう。大ブレイクを果たしたグラビアタレントの壇蜜。“黒髪の白拍子”というブログ名の通り、長い黒髪は、彼女のトレードマークとなっている。その他、若いアイドルたちの黒髪も目立つ。元AKB48の前田敦子も、染めていた時期もあるが、黒髪のイメージが強いし、Perfumeの3人はデビュー以来、黒髪を貫いてきた。日本テレビの元アナウンサー・夏目三久の黒髪の超ベリーショートは男女問わず人気が高く、彼女の再ブレイクに一役買ったとの見方もある。

 とはいえ、女性の黒髪ブームは、急に到来したものではない。2000年代後半からアジエンス(花王)やTSUBAKI(資生堂)、いち髪(クラシエ)など、東洋の美を前面に打ち出したシャンプーが続々と登場。「黒髪ブームは、その頃から続く、長くゆるやかなブーム」(業界関係者)という。

 こうした状況に嘆息するのは、東京・青山に美容室を構える美容師(40代男性)だ。

「ヘアカラーをするお客さんは、確実に減っています。長期的な傾向ではあるのですが、震災後、さらに減ったように感じますね。実は、美容室の売り上げにおけるヘアカラーの比率って、一番大きいんです。カットやパーマよりも大きい。だから痛いですね。個人的には黒髪の女性が好きなので、悩ましいところですが」

 ここ10年の美容室市場は、2006年の1兆7500億をピークに、減少が続いている(富士経済調べ)。長引く不況や格安店の登場による競争激化、少子化など、低迷理由は複数あるが、販売構成比率が最も高いヘアカラーの低調は大きな要因と富士経済も分析している。そのため最近は、男性客の獲得や、メイクを中心とする化粧品販売やネイルなど、女性の髪以外を対象としたサービスに注力する美容室が増えている。

 なぜ、女性も男性も、黒髪志向になってきているのか。美容ジャーナリストの木更容子氏は、背景に、髪への意識の高まりがあるという。

「黒髪ブームとはいえ、実際に黒髪の人は、それほど多くはないと思います。特に若い女性は、カラーをしている人が多いですし、黒髪は、皆が似合うわけではありませんよね。ただ、ここ数年、地肌ケアに注目が集まったり、薄毛を気にする女性が増えるなど、髪への意識は高まっています。そのため、ナチュラルで、豊かで、痛んでいない髪への“憧れ”が強くなってきているんですね。バージンヘアは究極の理想形なのだと思います」

 憧れが作り上げているブーム、という側面はあるようだ。だが「大きな理由ではありませんが」と前置きした上で、もう一点、木更氏は現実的な背景を指摘する。

「長引く不況で若い女性の可処分所得も減り、美容室でカラーをしていた人が、黒髪に戻す、あるいは自宅染めに切り替えるなど、節約志向が高まっています。最近は、カラーのみを行う専用のサロンもあるんです。市販のヘアカラー液の持ち込みが可能なところまである。こうした新しい業態の登場も、美容室のお客さんを奪うことにつながっているのかもしれません」

 理想と現実があいまっての黒髪ブーム、でもあるのだ。

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン