「街コン」など新しい婚活スタイルがブームになる中で、もっと身近な異性に目を向ける動きが生まれている。
「これがパーティ会場の地図です。2人で一緒に向かってくださいね」
スタッフから地図を手渡された男女ペア。「はじめまして」「こちらこそ……」と少しぎこちない自己紹介をして、徒歩10分ほどのパーティ会場へと向かう。
参加するのは男女20人ずつ、計40人。男女別に3時間の婚活セミナーを受けた後、1人ずつ呼び出されて即席ペアとなりパーティ会場に集まるのだ。
企画したのは、トヨタ自動車労組。組合員のみが参加できるセミナーとパーティである。「婚活」ブームが始まって久しいが、近年、「社員同士の婚活」「社内結婚」を推奨する企業が増えている。
かつて、職場で結婚相手を見つけて女性が寿退社するケースは多かったが、最近は減少傾向にある。
国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、出会ったきっかけが「職場や仕事」という夫婦の比率は、1982年は25.3%だったのが、1987年に31.5%、1992年には35.0%にまで上昇した。しかし、これをピークに1997年は33.5%、2002年が32.9%、2005年が29.3%まで減っている。
トヨタ労組企画広報局の光田聡志氏が語る。
「もともと組合員のワークライフバランスを推進するために家族向けのキャンプや農業体験などの企画を立てており、婚活セミナー・パーティもその一環で企画しました。
パーティの最後にはマッチングアンケートで意中の人の名前を3つまで書いてもらい、毎回4割ぐらいがカップルになります。これまで数か月ごとに6回のパーティを実施しました。追跡調査はしていないのですが、これがきっかけで結婚したカップルもいると聞いています」
セミナーは、化粧品会社から講師を招いて身だしなみやメークの講座が1時間半。さらに、婚活コンサルタントを招いてコミュニケーションの取り方などを教える講座が1時間半。コンサルタントは「パーティで気に入った人には『あなたの名前をアンケートで書きます』と言うこと。とにかく積極的に!」と活を入れるという。
会費はセミナー込みで6000円。別途、組合から補助が出るという。同じ会社に所属して住んでいる場所も近いため、最初から共通の話題が多く、盛り上がるらしい。
※SAPIO2013年4月号