WBC日本代表は選手のみならず首脳陣にも問題を抱えている。戦略面のコーチに関しては、派閥ができ始めた。ノックの巧さや三塁コーチとしての手腕に定評のある高代延博・内野守備走塁コーチ派と、野村克也監督のもとID野球を学んだ巨人の橋上秀樹・戦略コーチ派である。
巨人を日本一に導いた手腕をかわれて代表チーム入りした橋上コーチの“売り”は、データに基づいた予測により、「この場面ではこれが来るから、信じて振れ」と断言する指導だ。しかし高代派の選手たちはこう語っているという。
「長いペナントではデータが生き、読みも当たるが、ほぼ初顔合わせの投手ばかりの国際大会では、選択肢を提示して選手の感性に任せる高代流の方が合っている。一応、何度も修羅場をくぐった日本を代表する一流選手ばかりなんだから」
一方の橋上派からは、「高代コーチは来年還暦を迎えるせいか、得意のノックで疲れてしまい、練習中に居眠りしていた。戦略云々よりも、まず体力面に問題があるのではないか」 という声もある。コーチ陣はどうも一枚岩ではない様子である。
※週刊ポスト2013年3月22日号