WBC日本代表はコーチの間に派閥争いが生まれるなど不穏な空気も漂っているが、こうした状況を収拾するのが監督の役目。しかし山本浩二監督自身が、最大の不安になってしまっている。
代表監督は、何よりも選手の士気を高め、国の誇りを守ることが重要。そこで有効なのが監督の言葉だ。第1回大会のアメリカ戦、日本の三塁走者の離塁が捕球より早かったとの米国のクレームを審判が受け容れ、判定を覆した“誤審”事件が起こったとき、
「野球発祥の国であってはならないことが起こった」
と、王貞治監督は堂々と批判した。これにより選手が一つになり、優勝へ突き進んだのは記憶に新しい。
しかし、山本監督の場合、その“言葉”が逆効果を生んでいる。問題になっているのは「選手の呼び方」だ。
第1回の王監督は、選手たちを「諸君」と呼んで背筋を正させ、第2回の原辰徳監督は一転「お前さんたち」と話しかけてリラックスさせた。これに対して山本監督はなぜか、「お主ら」と呼びかけているという。
「“お主らの意志を尊重する”、といった具合です。いくらサムライと呼ばれるからといって、時代劇みたいにする必要はない。ふざけているだけなのか、そもそもこういう人なのか、未だに選手が監督の人柄を掴み切れていない」(スポーツジャーナリスト)
迷走する首脳陣。野球評論家の江本孟紀氏が語る。
「これだけのメンバーを集めれば、余計なことをしないというのが最大の采配。予選なんて普通にやれば日本が一番強いんだから。監督やコーチは黙って座っておればいいんですよ」
※週刊ポスト2013年3月22日号