複数のプレートにまたがって位置する日本列島はプレートの変動で歪みが生じ、さらに太平洋プレートに押されて 1年間に約3cmずつ西に移動している。そういったわずかな地殻変動の観測を可能にしたのが、国土地理院のGEONET(GNSS連続観測システム)とVLBI(超長基線電波干渉法)である。
GEONETは、GNSS(GPSなどの測位衛星)からの電波を受信する電子基準点を全国に設置して、位置情報をデータセンターに送信するシステム。本来は測量用に設置されたものだが、地殻変動の監視にも利用されている。
「東日本大震災では、宮城県の牡鹿が東に最大5.3m移動し、上下方向では約1.2m沈降するという変動を捉えました」(辻宏道・衛星測地課長)
一方のVLBIは、宇宙のはるか彼方の天体から出る微弱な電波を利用した測量技術だ。直径32mのパラボラアンテナと数千km離れた海外に設置されたパラボラアンテナで、特定の電波を同時受信する。
この時、100億分の1秒単位の差が生じる。その時間差に電波の速さをかけあわせて計算すると、日本列島全体の動きがミリ単位でわかる。両者によって日々刻々と変わる日本列島の姿が捉えられているのだ。
撮影■佐藤敏和
※週刊ポスト2013年3月22日号