国内

ネスレ日本の高級マシンが人気 コーヒー戦争は専門店VS家庭

 1杯100円~200円と低価格ながら本格的な味が評判の「いれたてコーヒー」。ファストフード店やコンビニエンスストアがこぞって導入したせいか、食後のお茶ではなくコーヒーの文化がますます浸透してきた感がある。

 社団法人・全日本コーヒー協会専務理事の西野豊秀氏が話す。

「コーヒーの消費量は早くも昭和50年半ばに緑茶を上回り、その後も増加しています。パンやスパゲッティーなど、思わずコーヒーが飲みたくなる『食生活の洋風化』がなければここまで需要は伸びなかったと思います」

 同協会調べの『コーヒーの需要動向に関する基本調査』(2010年)によれば、1人が1週間に飲むコーヒーは、インスタントが4.69杯、レギュラーコーヒーで3.27杯という結果が出ている。だが、意外にも喫茶店やコーヒーショップ、ファストフード店などを飲用場所に挙げる人は少なく、家庭や職場で飲まれる割合が圧倒的に高かった。

「カプチーノやカフェラテ、エスプレッソといった専門店顔負けのコーヒーを、ボタンを押すだけで1杯ずつ抽出してくれるコーヒーメーカーが次々と発売されているからです。マシン自体は1万~2万円の初期投資が必要ですが、1杯あたりのコーヒー代は20円前後と毎日飲む人にとっては経済的です」(フードアナリストの白根智彦氏)

 例えば、2009年にネスレ日本から発売されて100万台以上売れている「バリスタ」は、詰め替え用のインスタントコーヒーをマシンにセットして抽出するタイプ。本体を8000円前後で購入すれば、ブラックコーヒーは14円、カプチーノを作っても24円で泡立つコーヒーがいつでも楽しめる。

 だが、同社の数あるコーヒー専用機器の売り上げを支えているのは、なにも低価格帯ばかりとは限らない。

 三越銀座店をはじめ、全国に18店ある「ネスプレッソブティック」を訪れると、その名の通りブティックのような高級感漂う店内に2万円台後半のマシンもずらりと並ぶ。それらの機器に挿入するのは、1杯分のコーヒー豆が入った専用のカプセル。定番だけで10種類以上のカプセルの中から産地や味の濃さが選べ、まさにコーヒー通にはたまらない。

「一般的なコーヒーメーカーより高価ですし、カプセル入りのエスプレッソは1杯あたり80円と決して安くはありませんが、味や香りは格別です。毎日、外に出ればスタバやタリーズといったシアトル系カフェのLサイズを飲み、家でも条件反射的に飲んでいる“コーヒー中毒”の私にとって、もはやインスタントコーヒーは飲めません」(40代・ネスプレッソシリーズの愛用者)

 こうしてハイクオリティーのコーヒーが身近になった分、消費量だけでなく消費価格も上がっていると分析するのは、前出の白根氏だ。

「コーヒーは飲み方の選択肢が広がり、ワインのように味や好みをじっくりと選んで楽しむ時代になりました。水やお茶はまだ無料というイメージもありますが、コーヒーはしっかりお金を払ってでも深煎りで価値を確かめたいという“こだわり派”が増えました」

 全日本コーヒー協会の西野氏は、コーヒー文化が根付く条件として、「都市化」と「所得の向上」を挙げる。

「都市化すれば喫茶店ができ、次第に本格的な味を家に持ち帰るようになり市場全体が伸びていく。いわばコーヒーを嗜むのは一種のステータス。そう考えると、日本のコーヒー文化も成熟期に入ったのかもしれませんね」

“違いの分かる”愛飲者の増加により、コーヒー市場はさらに底上げされそうだ。

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン