いまから株を買うとすれば、どんな株に注目すればよいのか。証券界での豊富な経験と人脈を持つラジオNIKKEI記者・和島英樹氏が注目しているのは、「富士フイルムホールディングス」(東証1部・4901)だという。
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デジタルカメラの普及に伴い、従来の写真フィルムから液晶フィルム、医療画像、ヘルスケアなどに経営資源を転換してきている富士フイルムホールディングス。海外売上高比率が50%強と高いが、円高という外部環境の悪化にもかかわらず、高い収益力を誇ってきた。そこに円安の進行が今後大きく寄与してくることが確実視される。
円安効果に加え、注目したいのはヘルスケアだ。2008年に1300億円超で買収した医薬品メーカーの富山化学工業が牽引役となり、2014年3月期には医薬品事業が初めて営業黒字に転換すると見られている。
この富山化学は、鳥インフルエンザにも有効性が期待されるインフルエンザ治療薬を申請中のほか、リウマチ治療薬やアルツハイマー型認知症治療薬などの新薬も開発中で、今後に大きな期待が持てる。
これまで富士フイルムの医薬品分野は「期待したほど収益に貢献していない」などと市場では見られてきたが、その黒字化が近いということは大きな意味を持つ。来期の収益拡大が確認されるようになると、さらなる上値を追う可能性が高い。
※マネーポスト2013年春号