野球の世界一決定戦・WBCの2次ラウンドで姿を消したものの、台湾代表の戦い振りはファンの印象に強く残ったことだろう。前回準優勝の韓国に代わって1次ラウンドを勝ち抜き、2次ラウンドでは、エース・王建民(ナショナルズ=FA)を擁して、日本代表と死闘を繰り広げた。
もちろん1次ラウンドでは地元開催という地の利もあったが、躍進の背景として大きかったのは、『台湾リーグから出たい』という各選手の強い思いだという。スポーツ紙記者が語る。
「台湾野球には、依然として八百長がはびこっているといわれています。実際、過去に何度も問題になり、そのたびに野球人気が下落しました。今は排除しようと努力していますが、根が深いのは間違いありません。台湾野球を経験した日本人選手から、『話を持ちかけられた』と聞いたこともあります。
かつて台湾では、外国人選手がシーズン中に、突然『心不全』『2階から転落』などという不自然な死因で亡くなったこともありますが、これも八百長絡みではないかと、もっぱらの噂です」
国内リーグがそのような状況のため、選手はWBCでアピールし、他国に移籍したいという思いが強いという。
「今回の台湾代表は、日本ハムの陽岱鋼(よう・だいかん)をはじめ、6人の選手がアメリカや日本でプレーをしています。各ポジションに海外野球経験者が散らばっているし、これが国内リーグで戦う選手のいい刺激になったのではないでしょうか」(同前)
今回の韓国代表は、兵役免除というニンジンがぶら下がっていなかったため敗れたという論調も見られたが、台湾代表選手の『海外でプレーしたい』というモチベーションは、それ以上のものだったのかもしれない。