手の込んだ料理をしたくても、時間がないからできない、という人も少なくないはず。そこでNHK『きょうの料理』『あさイチ』でもおなじみの“ばぁば”こと料理研究家・鈴木登紀子さん(89才)が、短時間できる秘伝のレシピを紹介する。
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夫婦共働きのご家庭が当たり前の昨今、とにかく「時間が足りない」と嘆くお母さんが増えてまいりました。ばぁばも年末年始など、撮影などが重なって、それこそ食べる時間など満足に取れないことがあります。
そんなとき「あれにしましょうか!」のひと声で、助手さんたちといただくのが、作って食べて15分のまかないごはん、『シャケ缶おろしスパゲティー』。ツナ缶でもおいしいですよ。
お好みの太さのスパゲティーをお好みの硬さにゆで、湯を切ってオリーブ油少量を絡ませてからお皿に盛ります。その上に、軽く汁を切った大根おろし(1人分大さじ3程度)、ほぐしたシャケ缶・せん切りにした青じそ各適量をのせます。おしょうゆをちょっとたらして出来上がりです。
もうこれがね、さっぱりと体にやさしく、びっくりするくらいおいしいのです。「シンプルなお料理ほど手を抜いてはいけません」がばぁばの持論でございますが、これだけは別。手の抜きようがないほど簡単で、手の込んだ料理にも負けない味わいです。
これにサラダなどを添えれば、立派なお献立にもなりますね。サラダは、野菜をあらかじめよく冷やしておいて、しっかり水けを切るのが肝要です。
大きめのサラダボウルに玉ねぎの薄切り(水にさらして軽くしぼったもの)とトマト、きゅうり、レタスをベースにお好み野菜を加え、そのまま食卓へ。食べるときにオリーブ油・酢各大さじ3、塩小さじ2分の1、こしょう少量を順に回しかけてその場でざっくり和えます。こうすると口当たりが新鮮で、いつものサラダもごちそうに感じられます。
お料理は“時間”ではなく“知恵”。「こう合わせてこうすれば、きっとおいしい」と思うその心が、素晴らしい命を育んでいることを、どうかお忘れなく。
※女性セブン2013年3月28日号