中国から飛来するPM2.5への恐怖は募るばかりだが、埼玉大学の王青躍准教授(環境科学)はこう説明する。
「PM2.5とは粒径2.5マイクロメートル(1000分の1mm)以下の粒子の総称で、主に硫酸塩や炭素粒子、金属粒子などが含まれています。
ぜんそくや気管支炎、呼吸器系のがんのほか、動脈硬化や心臓疾患、脳梗塞などを誘発する危険性があります。子供やお年寄り、妊婦は特に注意が必要です」
“殺人物質”とも呼ばれ、濃度が1立方メートルあたり10マイクログラム(1000分の1mg)増えるごとに肺がんによる死亡率が15~27%増加したという研究発表もある。
西から東への偏西風に乗り、1月28日午後以降に大陸から九州地方へと襲来すると、PM2.5汚染はあっという間に日本全国へと広がり、2月5日には北海道でも日本の環境基準(1日平均、1平方メートルあたり35マイクログラム)を超える値が観測された。
環境省は、今月末から5月ごろまで濃度が高めの状態が続く可能性があると分析している。
そして花粉が舞う今の季節こそ、より一層注意しなくてはならないことがある。PM2.5は花粉にくっつくと、花粉がいわば“爆発”して、さらに微小な「PM1.0」が発生してしまうのだ。前出・王准教授が説明する。
「PM2.5に含まれている硝酸塩が花粉にくっつくと、水分が花粉にどんどん入り込み、やがて爆発します。すると、その衝撃で、花粉と一緒にPM2.5も砕け散り、1マイクロメートル以下の物質『PM1.0』となってしまうんです」
目に見えないどころか、通常のマスクでは遮ることのできないPM1.0となった有害物質や花粉片は、呼吸などによって肺のもっとも深い肺胞にまで取り込まれていく。そのため、これまで花粉症になったことのなかった人にもアレルギー反応が出たり、呼吸器系の疾患や発がんの危険がより高まるなど殺人度はUPしてしまうのだという。
※女性セブン2013年3月28日号