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全面取引禁止の象牙 中国への密輸目的で3万2000頭の象密猟

 高値で取引される象牙が目的で、アフリカ象の密猟が深刻化している。その象牙の大半は中国に密輸出されており、昨年だけで3万2000頭の象が殺されていることが自然保護団体「ボーンフリー協会」の調べで分かった。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。

 象牙取引は1989年のワシントン条約締結国会議で、全面禁止が決定されているが、中国政府の統計によると、中国内では昨年1年間で摘発された象牙密輸は900件以上に及んでいる。これらの象牙は1キロ、約24万円で取引されているという。

 中国当局も摘発に力を入れており、昨年は密輸業者33人が終身刑の判決を受けたという。とはいえ、象牙密輸は増加傾向にあり、昨年は香港で1.5トン、時価にして140万ドル(約1億2600万円)もの象牙の密輸が摘発された。また、マカオでも1.1トンもの象牙が摘発されている。

 中国では象牙に精巧な細工をほどこした芸術品が高く売れており、2011年のオークションでは、象牙製品だけで総額では9400万ドル(約84億6000万円)に達している。

 象牙製品は装飾品として非常に人気が高く、中国では象牙の密売に軍や警察関係者が関わっているとの情報もある。

 このため、世界的な動物学者で象を救う活動に取り組むイアイン・ダグラス・ハミルトン氏は「アフリカ象の将来は中国にかかっている」と警告している。

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