「父が愛して大切にしてきた演目ですから、またここでできるということでありがたい気持ちでいっぱいです」
3月8日から東京・赤坂ACTシアターで始まった『赤坂大歌舞伎』への思いをこう語った中村勘九郎(31才)。
同公演は、昨年12月に亡くなった勘九郎の父・勘三郎さん(享年57)が、“歌舞伎を初めて見るお客さんにもわかりやすいもので、すそ野を広げる”というコンセプトで、2008年から始めたもの。天国の勘三郎さんの思いが届いたかのように、初日から、会場には10代、20代の若者が目立った。その人気は凄まじく、追加公演のチケットもほぼ完売して、連日立ち見客が出る盛況ぶりだ。
初日には、4月末に第2子出産を控える妻・前田愛(29才)の姿もあったが、偉大なる父の死後、悲しみに暮れる勘九郎を支えたのは“家族”だった。特に2才になった長男・七緒八くんの存在は大きかったと、勘三郎さんと35年来の親交があった友人の浅草・文扇堂の店主・荒井修さんは言う。
四十九日には、こんな心温まるシーンがあったという。
「七緒八は、同じ年頃の野田(秀樹)さんの娘さんと手をつないで、ふたりで足拍子をしたり、刀を持って見得をしたりするんですよ。もう見事な役者ぶりで。みんなが“中村屋!”って大向こうをかけると、嬉しそうな顔をするんですよ。七緒八のお陰で、四十九日は和やかな雰囲気になりましたね」(前出・荒井さん)
勘九郎も七緒八くんの成長が楽しみのようで、荒井さんに会うたびに、
「また七緒八の見得がうまくなりました」
なんて嬉しそうに報告するのだという。
※女性セブン2013年3月28日号