保育所に入りたくても入れない「待機児童」。全国で約2万5000人いるといわれ、保育所に入れないことからやむなく母親が仕事を辞めたケース、認可外の施設に入り“空き待ち”をしているケースも含めると、85万人の待機児童がいるとの推計も出ている。
1997年に共働きの世帯数が片働きの世帯数を超え、母親が育児だけに時間をかけるということが難しい現状がある一方で、保育所にも入れないとなると、ますます少子化が進んでしまう。日本の未来にとってはかなり深刻な事態だといえるだろう。
そこで、参考にしたいのが、フランス型の手厚い育児支援制度だ。1994年に出生率1.65にまで低下したフランスは、育児休暇制度や保育施設を拡充、2008年には出生率2.02にまで回復させた。在仏ジャーナリスト・宮下洋一さんの話。
「フランスでは、2人以上の子供を持つ親は最大3年間の育児休暇をとることができます。その間、国から月500ユーロ(月6万2000円)以上の手当が支給され、復職後も休暇前と同等の役職で働くことが保障されます。出生率が高くても、成人女性の8割が就業しているのはこのためです」
そして、フランス型保育制度のもうひとつの柱となっているのが、“保育学校”と呼ばれる幼稚園だ。現地で3才の長女と暮らす日本人女性が言う。
「フランスの幼稚園は2才から入園することができます。読み書きや簡単な計算などを教えてくれるのは日本の幼稚園と同じですが、一番違うのは預かってくれる時間。日本だと午後3時ごろにお迎えの時間が来ますが、フランスは延長保育で午後7時くらいまで預かってくれます。授業料も月50ユーロ(月6200円)程度なので家計に影響が及ぶ金額ではありません。日本の保育所と幼稚園のいいとこどりといった印象ですね」
※女性セブン2013年3月28日号