世の中ある無数の「業界」には、その業界の詳報を伝える業界紙が存在する。大メディアを出し抜くスクープを狙う記者たちの情熱と、日本経済のダイナミズムを伝える濃厚な情報が詰まった2000を超える業界紙のなかから「かまぼこ新聞」(発行部数/7500部、発行日/毎月20日、価格/年間7200円)と「かまぼこ通信」(発行部数/1万500部、発行日/毎月10・20・30日、価格/年間1万5000円)、を紹介する。
業界紙は「一業種に主要紙が一つ」であるケースが大半だが、全国生産量年間46万トン、製造業者は1800社のかまぼこ市場では、1969年発刊の『かまぼこ新聞』と1996年発行の『かまぼこ通信』の2紙が鎬を削っている。読者層は両紙ともにメーカーや流通、食品商社、スーパーなどで、取材対象もバッティングする。
先駆者の「新聞」の代名詞といえる特集は、「売上高ランキング」だ。
「年に1回、売上高のベスト100を発表しており、業界で大きな反響をいただきます」(臼倉政治・編集長)
昨年8月の発表では、25年連続で1位だった宮城県の生産量が東日本大震災の影響で7位に転落するなど、日本の「かまぼこ勢力図」に大変動が起きたことが話題になった。対する「通信」は独自の統計データ紹介が強みだという。
「政府が発表する無機質なデータは非常にわかりにくい。そのポイントをとらえ、複数のデータを併せて分析するなど、読みやすい形式に構成して掲載します。その工夫は怠りません」(小川一夫・編集長)
※週刊ポスト2013年3月29日号