『Girl’s Guide to 21st Century Sex』という番組が、英国の民放「チャンネル5」で全8回にわたってオンエアされた。性感染症の危険やセックスレスなど、性をめぐる諸問題をリポートした硬派な性教育番組である。
その内容は衝撃的なものだった。ハンガリー出身の女優アヴァ・キャデルと英国人俳優ガレル・スミスがセックスを実演するコーナーは、なんと「モザイクなし」。性教育番組ということで英国当局からのお咎めはなく、男性器、女性器ともありのままの姿が公共の電波で流されたのである。
前代未聞の過激さゆえにテレビ局にはクレームも殺到したが、その一方で「セックスに対する誤解を解消できた」「性生活が飛躍的に向上した」という肯定的な意見も多数寄せられたという。
この番組は日本でも『ガールズ・ガイド・セックス』としてDVD化された。しかし、男性器や女性器は原則としてモザイク処理が施され、現在は絶版となってしまった。今や、日本ではこの映像を視聴することは困難になっている。
日本は、アダルトビデオや性風俗産業の先進国ではあっても、こと性教育・性科学の分野となると世界に大きく後れをとっている。セックスに関する表現や議論を「猥褻」というレッテルのもとにタブー化してしまうがために、セックスを科学的な視点で解明することが疎かになってしまっているのだ。
事実、この番組の初回放送から8年もの歳月が経っているが、わが国の性教育はいまだここまでのレベルに到達していない。
※週刊ポスト2013年3月29日号