3月16日、フリーアナウンサーの大塚範一さん(64才)が急性リンパ性白血病を再発し、再入院することが明らかになった。復帰後初のレギュラー番組となるはずだった4月スタートの情報番組『アゲるテレビ』(フジテレビ系)への出演は見合わせることとなった。
九州大学医学部の杉町圭蔵名誉教授によると、一般的に白血病の再発後の治療では、主に「より強力な抗がん剤を使う化学療法」「放射線でがん細胞を減らす治療」「他人の細胞を移植する治療」の3つの方法が考えられるという。
そして、白血病の場合、骨髄移植によって克服できるケースが多い。骨髄移植は、ドナーと呼ばれる提供者の健康な骨髄細胞を患者に移植する方法。
提供者は白血球の型が患者と適合しなければならないのだが、その適合率は、血縁者の場合で4分の1、非血縁者の場合は、数百~数十万人に1人と低い。まずは血縁者で適合者を探し、いない場合は骨髄バンクに登録し、適合者を待たなければならない。3か月程度で見つかる時もあれば、何年経っても見つからないケースもある。現在、骨髄バンクに登録して、実際に移植を受けられる患者は6割ほどだという。
大塚さんは、両親がすでに他界しているため、血縁者は3人の姉となる。だが、大塚さんには、姉たちに骨髄移植を頼めぬ事情がある。
「大塚さんは“姉たちは高齢なので、骨髄をもらうわけにはいかないんだ”と言ってました。お姉さんたちは、“提供したい”って思っているそうなんですが…」(大塚さんの知人)
3人の姉の年齢は、60代後半から70代半ばという。がん・感染症センター都立駒込病院の坂巻壽院長が説明する。
「一般的にドナーの年齢は55才までといわれ、その理由は2つあります。まず骨髄移植は全身麻酔をするので、高齢者にとっては、体に大きな負担がかかる。もうひとつは、骨髄は若ければ若い方がいいということ。その方が患者の術後の合併症も少なくなるんです」
さらに、大塚さん自身も手術を受けるには難しい年齢だという。
「移植するには、その前に強力な化学療法と放射線療法で、患者の骨髄をいったん、すべて破壊する必要があります。ところが、60才以上の患者の場合、この治療に体力的に耐えられないことが多いんです」(前出・坂巻院長)
しかし最近では、高齢者のために、ミニ移植という方法が広まり始めている。ミニ移植とは、骨髄をほとんど破壊しない状態で、移植を施すというもの。これならば、移植前の化学・放射線療法が、通常移植時に比べて弱く、患者への負担が軽く済むのだ。
「ただ、移植後の合併症のリスクは、通常移植と変わらない。さらに、白血病細胞を完全に消滅させにくいというデメリットもあります」(前出・坂巻院長)
※女性セブン2013年4月4日号