近頃、バラエティーでよく見かける「ひな壇番組」だが、なぜこんなに増えたのか。元フジテレビプロデューサーの佐藤義和さんはこう話す。
「2009年のリーマン・ショックがきっかけで、テレビ局の広告収入が減り、制作費が削減された結果です。バラエティー番組でいちばんお金がかかるのは、大勢のスタッフによるロケや、コントをやる際の衣装やセット。その点、ひな壇番組は、スタジオでのトーク主体です。ひな壇芸人のギャラは高くても50万円程度。かなり制作費を抑えられます」
佐藤さんによれば、1時間のドラマ1本分の制作費は8000万円ほど。それに対して、バラエティーなら2000万円から3000万円程度で済むという。バラエティーの中でも、とりわけ制作費を抑えられるのが「ひな壇番組」。似たような番組が増えるのは、テレビ局側の苦しい懐事情ゆえだというのだ。さらに佐藤さんが続ける。
「最近、番組改編期でもないのに2時間、3時間のスペシャルが増えているのもテレビ局側の事情です。1時間3000万円かかるとして、それを2時間番組にすればセットや出演者はそのままですから、4000万円程度で作れるわけです。そうすれば1時間当たりのコストは下げられますが、その分、確実に内容が薄まります」(前出・佐藤さん)
ひな壇番組が制作費を安く済ませることができるのには、もうひとつ、“大人の事情”がある。自身も『サンデージャポン』のひな壇に座る、デーブ・スペクターが明かす。
「テレビを見ていても、全然話せないのになぜこの人が?という人が度々出ていたりしてるでしょ。それは、事務所とのつきあいだったり、大手事務所だと売れっ子を出す代わりに売れないタレントも抱き合わせで出す“バーター”もある。
番組改編期になると、新しく始まるドラマに出演している役者を、ドラマの宣伝活動の一環として破格のギャラで出すこともザラ。トーク力なんか考慮してないですよ。結局、純粋に力量があるから呼ばれている人はごくわずかで、8割くらいは“ワケあり物件”です」
※女性セブン2013年4月4日号