各地で桜の開花情報が聞かれるようになるこの時期。新入学のシーズンに合わせて、今年も4月6日(土)~15日(月)までの10日間、「春の全国交通安全運動」が実施される。それに先駆け2月末に発表された警察庁交通局発表の統計「平成24年中の交通事故の発生状況」によると、交通事故による死者数は4411人で、12年連続の減少。交通事故発生件数および負傷者数も8年連続減少し、発生件数は19年ぶりに70万件を下回る結果となった。
負傷者数を年齢層別に見ると、若者の負傷者数は、昭和50年代前半から増加傾向を示し、平成2年以降はほぼ横ばいで推移した後、平成12年をピークに減少(平成14年の0.51倍)している。その一方で40代、60~64歳及び高齢者(65歳以上)の負傷者数は、高い水準(それぞれ同0.99倍、同0.92倍及び同0.94倍)にある。年齢層別の死傷者数における高齢者の構成率を見ると、軽傷者では12.5%であるのに対し、重傷者では32.5%、死者では51.3%であり、被害程度が深刻になるほど高齢者の割合が高くなっていることがわかる。
調査会社ゲインが60~70代男女300名を対象に行なった「シニアの車の運転に関する意識調査」によると、39.3%が「ほぼ毎日」車を運転しており、地方部では49.2%と約半数近くが「ほぼ毎日」運転をしている――という結果になっている。
しかし運転をする上で「視力の衰えによる視界不良」「体力の衰えによる長時間運転の不安」「判断力の衰えによるとっさの時の対処の不安」と感じている人は全体の79.3%に。追突事故や人身事故に関して「自分の被害よりも、事故相手の被害を最小限に押さえることが重要」と答える人は83.0%に上り、車に求める事項としては「燃費」「安全性能」「車両価格」が上位3つを占めた。
こうした状況や運転者の意識は、自動車の人気モデルにも大きく表れている。例えば、販売開始から1か月の受注台数が、月間目標台数の2倍近い約2万1000台を記録したダイハツ「ムーヴ」は、クラストップとなる低燃費(29km/L)、軽自動車初(ダイハツ調べ)の衝突回避支援システム「スマートアシスト」搭載で、113万円からという販売価格などが、販売好調の要因といえそうだ。
高齢化が進み、「買い物が不便だから運転せざるを得ない」(女性・地方部)、「母の病院の送迎など運転しないわけにいかない」(女性・地方部)、「家族の介護」(男性・都市部)と、“生活のために運転せざるを得ない”というシニアが増える中、クルマに求められる基準も変化してきている。