夏の参院選に向けた候補者選びが各党で進んでいるなか、自民党内で意外なタレント候補の出馬が取り沙汰されている。
「俳優の嶋大輔(48)が自民党本部に出入りしている。自民党大会の前日には、三原じゅん子・参院議員が彼を連れて会館内を案内していた。参院選出馬の布石か、と党内で噂されている」(自民党職員)
出馬の噂が盛り上がるのは、嶋の“出自”に理由がある。嶋といえば、暴走族をしていた経験から、「ツッパリキャラ」として芸能界デビューした経歴の持ち主。『金八先生』のスケ番役で人気を博した三原とは、『Easy 悪 Rock’n Roll』(1985年)といういかにもな曲でデュエットした関係である。
なぜこのことが出馬と関係するのか。実は三原氏や“ヤンキー先生”こと義家弘介・衆院議員など、最近の自民党は元ヤンキーキャラを候補者に立てるのがトレンドなのだ。
「彼らは縦社会に厳しいから年功序列の自民党に馴染みやすく、地元愛が強いから選挙区回りも厭わない。それに昔ツッパっていたのに今は改心して良い大人になったというドラマがあるから、売り出しやすい」(政治評論家の有馬晴海氏)
最近では精神科医の斎藤環氏が、朝日新聞のオピニオン欄で〈自民党はもはや保守政党ではなくヤンキー政党だ〉(2012年12月27日付)と指摘し話題を呼んだ。斎藤氏によれば、自民党の唱える「自立」とは〈気合が足りないから生活保護を受けるようなことになるんだ、気合入れて自立しろという、ヤンキー的価値観〉で、安倍首相は〈ヤンキーに憧れていたけど、ひ弱でなれなかった〉人だという。
嶋の事務所に聞くと、
「三原さんとは昔から仲がいいので、何回か自民党に遊びに行ったとのことですが、プライベートのことですし、参院選に出るなんて話は本人から聞いていない」
とのことだが、嶋の出馬で自民党のヤンキー化が進めば長ランにリーゼントが国会議員の正装になる日も近い?
※週刊ポスト2013年4月5日号