男性同士の恋愛を描く作品を好む女性達、通称「腐女子」。「BL(ボーイズラブ)」市場のにぎわいを支えているのは、なにも女性だけではない。BLを好む男性が「腐男子」と呼ばれるなど、男性にもファンがいるのだ(「腐男子」という言葉はビジュアル系エアバンド、ゴールデンボンバーの楽曲タイトルにもなっている)。
自身は腐男子ではないものの、BLの魅力を理解できるようになった、と語る男性2名、コバヤシ氏(ネット企業勤務・29歳)とアカバネ氏(マスコミ勤務・27歳)に話を聞いた。まず、アカバネ氏はBLに興味を持つようになったきっかけをこう語る。
「きっかけは、後輩の腐女子がシェアハウスにBLを持ってきたことです。はじめはさすがに抵抗がありました。自分の場合は妹が腐女子だったということもあるので、他の人よりは身近な存在だったかもしれません」(アカバネ氏)
抵抗がありつつ、どうにか読めるようになったのは、どういう経緯があったのだろうか。
「いざ読んでみると、物語の中にしっかりと山場があったからですね。男と男の恋愛、という時点で大きな壁がありますから、作品の中ではその壁を乗り越えるというシーンが丁寧に描かれていたりする。
自分が読んだものだと、たとえ快楽によって同性という壁を乗り越えたとしても、その後には社会的地位や立場だったり、色々な面で克服できないことに悩むパターンが多かった印象ですね」(同前)
コバヤシ氏も、「BLは物語としてしっかりしている」という点に共感する。
「僕が読んだものにも、感情表現もしっかり描かれているものがあった。たとえば、“拒んでも、カラダは正直だろ?”というロジックで好きな相手を落とすんだけど、落とした本人があとあと苦しむ、というような描写があったり……。叶わないことが前提の恋愛が理想とされている感じですね」(コバヤシ氏)
そうはいっても、BLは男同士の恋愛を描いている。違和感は生まれないのだろうか?
「男と男の恋愛といっても、恐らくノンケ(異性愛者)を快楽でつなぎとめているっていう感覚に近い。両者が同性愛者という前提じゃない印象です。いつか女性に負けてしまうんじゃないか、っていう不安があるからこそ、自分に自信が持てずに嫉妬してしまったりする。こういった描写もよく作品のなかで描かれていましたね」(同前)