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男の眉毛サロンにキャンセル待ちの列 美眉グッズも販売好調

男性用美眉グッズの数々

 女性の眉が最近、太くなってきたと評判だ。1990年代半ばに流行したコギャルファッションでは、極端な細眉が流行し眉毛を抜いて細く描く女性も少なくなかったが、その元コギャルの女性たちも太眉にモデルチェンジしている。といってもバブル時代の、眉頭から眉尻までくっきり太いものではなく、ナチュラルに薄く太くなっているという。

 変化を見せているのは女性の眉だけではない。実は、男性の眉の環境をめぐる変化のほうが大きいといえるかもしれない。

 西新宿の雑居ビル5階にある「FIRST(ファースト)」。ここは、週末ともなれば3つある施術用の個室が空く暇がないほど入れ替わり立ち替わり客が訪れる、男性専用の眉サロンだ。完全予約制で、ひとりひとりに似合う眉の形を決め、女性を中心とした技術者が施術する。

 サロン代表の東海林玲さんによれば、今は細く描いたような眉よりも、太くてキリッとした目力のある感じが人気だという。とはいっても、訪れる男性客のほとんどは、自分でどういう眉にするべきか“相談”する人ばかりだ。

「『マツジュン(松本潤)みたいにしてほしい』とはっきり希望をおっしゃる方もいますが、ほとんどの方は自分に似合う形はどんな眉なのか質問をします。気になるけれど、どうしてよいのかわからない気持ちのほうが大きいようです。来店のきっかけも、奥さんや職場の女性に言われてという方もいらっしゃいますが、ひとりで店を探していらっしゃる方が圧倒的に多いですね」

 東海林さんは、独自に調べた街頭アンケートから、眉が気になるけれど対処法を知らない男性がとても多いと気づき、6年前、大阪で「FIRST」1号店をオープンした。昨年春に新宿区へ2号店を出店し、今では各店舗とも月に約500人が訪れ、社会人の予約が集中する土日はキャンセル待ちをしなければならないほど人気を集めている。秋には横浜へ3号店を出店する予定だ。

 客層は10代から80代までと幅広い。広告はほとんど出したことがないが、インターネットで“眉”“男性”と検索して店のホームページを見つけ、来店する人が圧倒的に多いのだという。

「就職活動が始まるから、成人式や結婚式を控えているから、営業職へ異動になって人と多く会うのでといった、様々なきっかけでサロンへいらっしゃいます。管理職になって人前に出る機会が多くなったので、整えたいとおっしゃる方も。

 サロンでは、眉が薄い場合でも描きません。周りのウブ毛を脱毛することでコントラストを強くし、自然に太い眉に見えるようにします。薄い眉に悩んでいた方も『こんなに自分の眉は濃かったんだ』と驚かれます。手入れをしていると周囲に知られないように、ナチュラルな仕上がりを好む方が多いので、もともとの眉を生かした施術が喜ばれています」(東海林さん)

 盛況なのは、男性専用の眉サロンだけではない。東急ハンズ新宿店の美容グッズ売り場へ行くと、男性向けのグルーミンググッズ、眉も含めた男性向け美容グッズの専門売り場が、ひとつのシマを形成するほどの面積を占めている

 その男性向け売り場でひときわ目立つのが、仮面のような形をした「メンズアイブローガイド」と「メンズアイブローテンプレート」(貝印株式会社)だ。アイブローガイドは、眉にあててはみ出た毛をカットし、アイブローテンプレートは、それに沿ってペンシルで描いてメイクできる道具だ。もともと女性向けに販売していたグッズをリニューアルするタイミングで、男性向けも新登場となった。

 発売元である貝印の経営企画室によれば、昨年4月に発売を始めてから半年で約2万個を出荷し、好調な売れ行きを見せている。男性向け商品については、眉だけでなく爪やひげなどの手入れ用品も含めた特設ページへのアクセス数が、他より目立って多いのが特徴だ。

「気にしているけれど、なかなか聞きづらい。リラックスした状態でこっそり見られるインターネットと男性美容は相性がよいようです」(貝印経営企画室)

 今後も男性用グルーミング用品は拡充していく予定で、4月には眉や髭などを細かくカットできる、女性のウブ毛ケア用品のような形状をした新製品が登場する予定だ。「男性が眉を気にするのはアジアの人に特徴的」(貝印経営企画室)というから、中国や韓国などアジアを意識した展開まで伸びる可能性も持っている。

 そういえば、電動ひげそりも、眉毛を整える機能を備えたものが売り上げを伸ばしている。「眉毛ケアなんて女々しくて」などと言っていられる時代ではないようだ。

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