投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の3月25日~3月29日の動きを振り返りつつ、4月1日~4月5日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は横ばい。「キプロスが欧州連合(EU)やトロイカと支援合意」と伝わったことが好感され、週明けの日経平均は12500円を回復して始まった。その後はユーログループ議長の発言によって警戒感が広がるなど、欧州要因が上値の重しとなったが、27日には日経平均でおよそ89円、TOPIXで9ptとなる配当権利落ち分の影響を即日吸収するなど先高期待の強い相場展開に。週後半にかけては聖金曜日(グッドフライデー)など祝日を控え海外勢による商いが細るなか、利益確定の売りが優勢となった。
甘利明経済財政・再生相が2月の講演で発言した「日経平均は3月末に13000円を目指す…」へのハードルは高かったが、昨年3月期末の10083.56円からの上昇率は20%を超えている。今週は名実ともに新年度相場入りとなる。
市場の注目は4月3、4日に開催される日銀の金融政策決定会合となる。今回の金融会合は黒田東彦総裁ら新執行部体制の下で初めて開かれる。「日銀はデフレ脱却へ国債買い入れを拡大するため新たな購入目標を設ける」など既に報じられており、サプライズは期待しづらいところではある。
しかし、週後半にかけての金融緩和メリット株などへの利益確定の動きが現れていたこともあり、新年度相場入りで改めて物色意欲が高まる可能性がある。また、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用指針を抜本的に見直すと報じられている。株式の組み入れ比率を高めるほか、海外の道路や港湾などのインフラ事業に投資するファンドへの投資も検討と伝えられた。そのほか、27日の権利落ち分の即日吸収のほか、緩和期待の織り込みや過熱感から格下げなども観測されていた不動産株の強い動きなどを考慮すると、買い意欲の強さが窺える。
一方、3月3週(18~22日)の投資主体別売買動向では、外国人投資家が19週ぶりに売り越しになった。先物は買い越しだったが、差引きでは売り越しのため、ややリスク・オフの動きが警戒される。3月4週についても祝日を控えていたためフローは少ないと考えられる。
昨年11月以降のアベノミクス効果を期待した上昇の牽引役である外国人投資家が売り越しとなるようだと、足元は調整ムードにつながりやすい。29日の米国市場は聖金曜日(グッドフライデー)で祝日となるほか、欧州についてはイースターマンデーで4月1日も祝日のため、週初は海外勢による資金流入は期待しづらいところでもある。
もっともアベノミクスへの期待が強く、株価の大きな下押しはないだろう。キプロスやイタリアの問題に揺れる欧州は上値の重しとなりそうだが、米国ではNYダウに続きS&P500も終値ベースでの史上最高値更新するなど、米景気回復を背景とした上昇相場が安心感につながるだろう。4月1日には3月調査の日銀短観が発表されるが、予想コンセンサスは、大企業・製造業の業況判断(DI)でマイナス7(前回はマイナス12)と改善が見込まれている。先行き予想はプラス1と、3四半期ぶりにプラスに転じる。
また、企業の中期経営計画の発表のほか、4月下旬から3月期企業の決算発表が本格化するため、業績観測報道のほか業績修正の発表も増えそうである。また、M&Aなど業界再編の動きなども出てくると考えられ、株価への刺激材料となろう。新年度相場入りに伴う資金流入のほか、黒田新体制による大胆な金融緩和政策、企業戦略や業績期待などが株価を押し上げることになりそうだ。
週末には3月の米雇用統計が予定されていることもあり様子見に向かわせそう。甘利大臣の年度末13000円には届かなかったが、足元は調整を交えつつも、改めて13000円を試すトレンド形成が期待される。