朝鮮総連最大の危機に“永田町のラスプーチン”が動いた。池口恵観氏、76歳。総連本部を45億1900万円で落札した鹿児島の宗教法人「最福寺」の法主である。
池口氏は、政界やスポーツ界に豊富な人脈を持つことで知られる。その教えに従い、燃えさかる大量の護摩木を前に一心不乱にお経を唱える元巨人の清原和博氏、元阪神の金本知憲氏、阪神の新井貴浩らの姿をご記憶の読者も多いだろう。
一体、どんな人物なのか。
池口氏は1936年、室町時代から500年以上続くという修験者の家に生まれた。鹿児島県の名刹・最福寺を再建した功績を持ち、現在は最福寺法主のほか、真言密教を極めた人間だけに与えられる「高野山真言宗大僧正」の名も持つ。
そんな池口氏に持ち込まれる悩みは身体の病や、仕事上の悩みなど多岐に亘る。前記の野球選手らもスランプ時に運気を高めてもらうため、試合前、池口氏のもとを訪ねたという。 ある仏教関係者はいう。
「池口氏のもとに人が集うのは何も特別な教えがあるわけではない。むしろ逆で、護摩行などの厳しい祈祷や修行を一般人に体験させることに布教の秘密がある。真言宗の教義上、護摩行は僧職が実践するもので、在家の人間は後ろで見学するぐらいしか許されない。でも、池口さんはそうした壁を取り払った。参加者としては厳しい修行に堪えることで、自らの力で御利益を享受することができます」
そうした話が有名人たちによって広く喧伝されることで、信奉者は増え続けていった。
政界との関係は古く、蔵相などを務めた故・三塚博が池口氏を信奉していたことから、三塚が派閥領袖を務めた清和会との人脈が築かれた。福田赳夫、森喜朗、小泉純一郎ら歴代首相らも師事してきたという。永田町のラスプーチンと称される所以だ。
※週刊ポスト2013年4月12日号