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信用取引 規制緩和スタートで「一攫千金のチャンス広がる」

 日本株が上昇基調にあるなか、少ない投資資金で大きなリターンが期待できる「信用取引」にも注目が集まっている。1月から規制緩和がスタートした信用取引の注意点について、カブ知恵代表・藤井英敏氏が解説する。

 * * *
 今年1月1日より、株の信用取引の規制緩和がスタートした。信用取引といえば、手持ちの資金の約3倍までレバレッジがかけられるため、少ない元手で大きなリターンが期待できるほか、買いだけでなく、「空売り」もできるというのが主なメリットだ。

 ただし、従来は委託保証金が1日に1回の売買にしか使えず、たとえば少額資金で勝負せざるを得ない場合、前場寄より付つき後の1時間ほどで信用枠を使い切ってしまい、その後取引ができないという個人投資家も少なくなかった。

 しかし、今回の規制緩和によって、保証金の拘束期間が見直され、建玉(ポジション)を決済すれば、すぐ次の取引に使えるようになり、同じ保証金で1日に何回でも売買できるようになった。また、建玉を決済して得た利益も受渡日前に利用できるようになったため、増やした保証金残高でさらに売買代金を膨らますことも可能になった。

 つまり、少ない資金であっても、それを何度でも無制限回転できるようになったので、終日勝負に打って出られるようになり、FX(外国為替証拠金取引)なみに使い勝手が向上したわけである。

 すでに株式市場にはその影響が出ている。人気化した銘柄の沸騰スピードはいままでにないほど急拡大しており、一攫千金のチャンスは広がったといえるだろう。

 もちろん、リターンが高まればリスクも高まる。たとえばアイフルや東京電力などの銘柄は、特段売買材料が見当たらなかったにもかかわらず、規制緩和直後から激しい値動きを繰り返している。従来と比べて値幅は大きく広がり、儲けやすいが、損もしやすいという投機性は格段に高まっている。

 実際、高速取引を可能にした東証のアローヘッドの導入も相あい俟まって、激しい値動きについていけず、損失を急拡大させてしまった例も後を絶たない。私の知り合いの証券会社ディーラーなどは、東電株を取引していて、従来は値動きの少なかった後場に入ってから大きく相場が動いたため、わずか1分間で350万円の損失を被ってしまったという。

 とはいえ、少ない資金を効率的に動かして、より大きなリターンを狙える可能性が高まっていることに変わりはなく、これをうまく使いこなせるかどうかが、今後の局面において勝負の分かれ目となるのは間違いないだろう。

※マネーポスト2013年春号

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