3月24日、朝日新聞は一面トップで次のように報じた。<腰痛 2800万人><8割原因不明…心の悲鳴かも>──。
記事によれば、東京大学医学部附属病院特任准教授・吉村典子さんの研究チームが、東京や新潟、広島など全国8か所の住民約1万2000人のデータを分析し、「過去1か月以内に1日以上の痛みがあった人」、もしくは「医師に腰痛と診察された人」の割合を算出した。
この割合を日本の人口に当てはめると、“腰痛持ち”はなんと約2800万人に達するという。さらに、腰痛を発症する年齢は、男女とも40~60代が4割前後と多く、男女比は4対6で女性のほうが多かった。
なぜこんなに腰痛の人が、特に女性に多いのか。今回の研究チームのひとり、和歌山県立医科大学教授の吉田宗人さんが解説する。
「これまでのさまざまな研究から、一般的に8割の人が腰痛を経験するといわれます。背骨をサポートする腹筋や背筋といった筋力の衰えは、腰にとって“致命傷”になるので、特に男性より足腰の筋力が弱い女性に腰痛が多いのです。
さらに女性は、40代半ば以降に閉経期を迎えることで女性ホルモンの分泌が減り、骨が脆くなる骨粗鬆症のリスクが高まる。骨が弱くなると腰に負担がかかりやすいといったことも、女性に腰痛が多いひとつの理由と考えられます」
しかも、腰痛のほとんどは原因がよくわからないケースが多いのが実情だ。福島県立医科大学教授・白土修さんはこう説明する。
「腰痛は、症状に応じて適切な治療をすることが肝心です。しかし、磁気を用いて体内を調べるMRI検査などで原因をはっきりと特定できる腰痛は、実は全体の約15%しかありません。残りのおよそ85%は、検査をしても原因が何か特定できない『非特異的腰痛』なんです」
現在は原因不明の“非特異的腰痛”の対処法も増えてきたと白土さんは言う。
「最近の研究で、疲労や筋肉の衰え、生活習慣やストレスなどの心理的影響が、この『非特異的腰痛』に関係することがわかってきました。つまり、それらを改善すれば、腰痛の予防・治療に役立てることができるのです」
※女性セブン2013年4月18日号