東京の新大久保や大阪の鶴橋などで昨今頻繁に行われている「排外デモ」に抗議するための国会集会が3月14日に開かれた。その呼びかけの中心となった民主党の有田芳生参院議員(61)のもとには、連日匿名で「国に帰れ!」「売国奴!」などの電話がかかってきているという。さらに4月20日には京都で、有田氏らから、議員バッジを返上させるための街宣活動も予定されている。まさに批判の的となっている有田氏に、排外デモについて思うことを聞いた。
――「国会でも問題にしたい」と、排外デモについて初めてtwitterでつぶやいたのは今年2月26日ですが、それまではどういう気持ちで受け止めていましたか?
有田:拉致問題解決のためのデモに彼らが入ってきて「朝鮮人は東京湾に沈めろ」などと叫んだのですが、それが結果的に拉致問題解決の妨害になったと思っています。これに対しては拉致被害家族の横田滋さん、早紀江さん夫婦も怒っていました。だから不快感を持って見ていましたが、この頃はまだ最近のような、「韓国人を殺せ」などという直接的な殺人教唆にまで進むとは思っていませんでした。
――3月14日の集会には、右翼民族派団体「一水会」の鈴木邦男氏と木村三浩氏も登壇。だが彼らの「レイシストはもっと品格があるものだ!」という、レイシズムそのものは容認しているとも受け取れる発言には、参加者から反発の声もあがりました。なぜ彼らをゲストに招いたのでしょうか。
有田:それは彼らが30年来の知人であり、民族派として在特会(「在日特権を許さない市民の会」)などの主張、行動に批判的だと知っていたからです。
――今後は、排外デモを取り締まるための法律を整備することを視野に入れているのでしょうか。またそれが、目指すゴールなのでしょうか?
有田:取り締まりの法律について、議論する段階に入ったと思います。ただこうした規制法を制定するには、まだ機が熟していないと思います。デモコースの変更指導など、現行法でできることはまだあると思います。そして目指すゴールは、おそらくないでしょう。ただ排外デモ参加者たちが「恥ずかしいことをやっている」と、心の中から自覚できるような世論と運動はもっと必要です。ひとり、ふたりと運動から去っていく環境を作ることではないでしょうか。3月31日の新大久保デモで「殺す」などの言葉が使われなかったのは、反対運動のとりあえずの成果だと思っています。
【おわりに】
この問題への関心が、国会議員の間で低いように見受けられるという問いには、「関心が
低いというよりも、触れたくないというのが本音でしょう。デモに参加するような人たちの存在は、とくに選挙活動の妨げになるでしょうから」と答えた有田氏。次の集会の予定は「未定」ではあるものの、「元の静かな新大久保に戻すための運動を頑張っていきたい」とも語っている。