中国の最高指導者、習近平国家主席の妻で、ファーストレディでもある彭麗媛さんの84歳の伯父がいまでも台湾の嘉義県で、健在なことが分かった。この伯父はかつて上海を訪問した際、習主席とも会い歓待されており、習主席としては、伯父を中台統一の宣伝塔として政治的に利用したいとの思惑も見え隠れしている。
米国に拠点を置き、中国情報では定評があるニュースウェブサイト「博訊(ボシュン)」によると、この伯父は李新凱という名前で、彭麗媛さんと同じく中国東北部の山東省の出身で、彭麗媛さんの母が李さんの妹という関係だ。
しかし、李さんら兄妹は1949年以前の国共内戦の混乱で離ればなれになり、李氏は南方に逃れ、福建省の澎湖諸島にたどり着いたあと、国民党軍とともに台湾本島に上陸した。
その後、国民党軍に入隊し、陸軍で士官をしたあと、台湾南部の嘉義県で小学校教師の職を得て、嘉義市の精忠国小学校の教師を最後に引退した。李氏は軽い脳卒中の後遺症を患っている以外は健康で、引退後も同小の付近に住み、毎朝毎晩、散歩するなどしている」という。
中台間で親戚訪問や中台の人的交流が解禁になったあとの1997年、彭麗媛さんは人民解放軍歌舞団のメンバーとして台北市を訪問した際、伯父の李氏は歌舞団一行が泊まっていた台北市内のホテルを訪ねて、彭麗媛さんと対面を果たした。
その後、2人は交流を続け、李氏夫妻が北京などを訪問。さらに、李氏は2007年には当時、上海市党委書記を務めていた習近平主席とも面会して歓待を受けたという。習主席は李氏や李氏の妻の里帰りの便宜を図るなど、密接な関係を維持している。
このような“美談”が最近、台湾のメディアによって報じられるようになり、「台湾民衆の習近平主席や彭麗媛さんの人気上昇に一役買っている」と台北在住のジャーナリストは述べたうえで、「習近平は2021年の中国共産党創設100周年の記念日を中台統一を果たした台湾で迎えようとしているとも伝えられており、これらの彭麗媛さんの伯父との交流にまつわる美談を政治的に利用しようとの思惑が絡んでいるのではないか」と指摘している。