3月、朝日新聞が一面トップで、「“腰痛持ち”が全国で約2800万人もいる」ことを報じて話題になった。しかし、磁気を用いて体内を調べるMRI検査などで原因をはっきりと特定できる腰痛は、実は全体の約15%しかなく、残りのおよそ85%は、検査をしても原因が何か特定できない『非特異的腰痛』だという。
だが、約85%の“原因不明”腰痛の人も、検査で原因が特定できなかったからといって、諦めるのは早い。あくまで“検査で引っかからない”だけであって、最近の研究では、いくつかの原因が考えられている。次の2つが代表的な原因。
“腰回りの捻挫”ともいわれるギックリ腰が原因不明とは意外かもしれないが、MRIなどの検査では異常は見つからない。和歌山県立医科大学教授の吉田宗人さんが解説する。
「ギックリ腰は背骨の関節である『椎間関節』に起こる捻挫で、炎症を起こすこともあります。安静にしていれば通常は1週間~10日で自然治癒しますが、場合によっては慢性化することも」
驚くべきことに、“精神的な苦痛”が腰痛を引き起こすことがわかってきている。
平木クリニック院長・平木英人さんは、ストレスと腰痛の関係をこう説明する。
「心療内科の分野では『転換性障害』と呼ぶのですが、ストレスをうまく発散したり、解消できない人のなかには、溜め込んだストレス(精神的苦痛)を肉体的苦痛に転換して、痛みを“すり替えて”しまうことがあります。腰痛についても、これと同じカラクリであると考えられます」
腰が痛いと安静にしたほうがいいと思いがちだが、非特異的腰痛の場合、ギックリ腰の発症直後などを除いて、多くの場合は普段通りの生活を送ったほうが回復が早まるという。
また、疲労や筋肉の衰え、喫煙などの生活習慣も“原因不明”の腰痛を引き起こすことがわかってきた。
※女性セブン2013年4月18日号