国民の足元では消費者物価が猛烈な勢いで上がり始めた。ガソリンなど石油製品から、トイレットペーパー、小麦、食用油、食料品やブランド品まで輸入価格が跳ね上がっている。 公共料金も値上げされる。
政府は昨年の東京電力に続いて関西電力、九州電力の値上げ申請を認可し、5月から電気代が大幅に上がる。燃料費の高騰分はそれとは別に料金に転嫁されるから、消費者にはダブルパンチだ。都市ガス料金も標準家庭で月額72円から104円引き上げられる。
自動車ユーザーは自賠責保険料が2年契約で普通乗用車は2890円、軽自動車は4400円、小型貨物は1万3550円も引き上げられ、損保各社は地震保険料の最大3割値上げを申請している。実施されればマイホームの所有者だけではなく、家賃にもはね返る。
石油などの燃料、紙やポリエチレン、小麦や大豆といった原料、そして電力や流通コストまで高くなれば、これから、物価上昇は他の食品やプラスチック製品、紙製品などさまざまな商品に及んでくるのは火を見るより明らかだ。
忘れてはならないのは、現在の物価上昇に加えて、さらに消費税5%引き上げで全商品に価格転嫁されることだ。
「物価目標2%」を掲げる安倍政権は、消費税アップの際に値上げに歯止めをかけて消費者の味方になるはずの「消費税還元セール」を禁止し、逆に「業者は価格転嫁カルテルを結んでいい」とする特別措置法案の成立を目論んでいる。そうなると、消費税アップ分の5%にとどまらず、“この際、デフレでコストを切り詰めてきた分まで価格転嫁してしまえ”という便乗値上げが襲ってくることを国民は覚悟しておかなければならない。
※週刊ポスト2013年4月19日号