国内

米国産シェールガス対日輸出容認 「日本商社奮闘のお陰」説

 従来の天然ガスと比べて価格が3分の2となる米国産シェールガスの対日輸出が実現しそうだ。この背景にはどんな事情が存在するのか? ジャーナリストの須田慎一郎氏が解説する。

 * * *
 2月の日米首脳会談でも議題にのぼった米国産シェールガスの対日輸出解禁問題について、米国政府はこれまでの方針を転換し、輸出容認へ向けて大きく舵を切った模様だ。

 米国は、自国産の原油や天然ガスなどのエネルギー資源を高度な戦略物資と位置付け、その輸出については許可制とした上で、これまで原則として認めない方針をとってきた。  唯一とも言える例外規定が、米国との間でFTAを締結している国に対しては輸出を認めるというもの。もちろんFTAを締結していない日本に対しては、この例外規定は適用されない。

「その一方で韓国に対しては、FTA締結国ということで輸出が認められることになった。シェールガスの価格は従来型天然ガスの3分の2程度ですから、韓国経済は大きなアドバンテージを得ることとなる」(経済産業省幹部)

 シェールガスの輸入という点で、韓国に一歩後れをとる格好となった日本だが、それでもあと少しで輸出解禁というところまでこぎつけている。それは政府の手柄ではなく、商社勢の頑張りだったと言っていいだろう。たとえば住友商事は、いち早く米テキサス州のシェールガス田開発に出資し、権益を確保している。また三菱商事は、米西海岸に建設された、液化シェールガスの船積み施設を押さえるなど、輸出解禁へ向けた動きを加速させている。

「さらに三菱商事は、カナダ産のシェールガスの輸入を決め、米国に対する一種のデモンストレーションと言えるような動きも見せている」(前出の経産省幹部)

 米国政府が対日輸出解禁へ向けて動き出したのも、こうした日系企業の積極的な活動のたまものと言えよう。

「シェールガスに関して言えば、日本の商社からの攻勢はスピーディでアグレッシブだった」(米エネルギー省関係者)

 民主党政権下で日米関係が基地問題などによって停滞していたなかでも、民間は政府に頼らず権益の確保に動いていた。

※SAPIO2013年4月号

関連キーワード

トピックス

第2次石破内閣でデジタル兼内閣府政務官に就任した岸信千世政務官(時事通信フォト)
《入籍して激怒された》最強の世襲議員・岸信千世氏が「年上のバリキャリ美人妻」と極秘婚で地元後援会が「報告ない」と絶句
NEWSポストセブン
モテ男だった火野正平さん(時事通信フォト)
【火野正平さん逝去】4年前「不倫の作法」を尋ねた記者に「それ俺に聞くの!?」 その場にいた娘たちは爆笑した
週刊ポスト
「●」について語った渡邊渚アナ
【大好評エッセイ連載第2回】元フジテレビ渡邊渚アナが明かす「恋も宇宙も一緒だな~と思ったりした出来事」
NEWSポストセブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さま(時事通信フォト)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
「SUNTORYドリンクスマイルBAR」
《忘年会シーズンにこそ適正飲酒を》サントリーの新たな取り組み 自分に合った “飲み“の楽しさの発見につながる「ドリンク スマイル」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン