本誌は今年の注目新人投手について、複数の球団スコアラーの秘蔵メモを拝借した。ここでは藤浪晋太郎の評価と攻略法を紹介しよう。
スコアラーが投手を評価する際、試合での打球をA(いい当たり)からB(そこそこの当たり)、C(打ち取った当たり)に分類して記録していくという。藤浪が初登板のヤクルト戦で打たれたヒットは畠山和洋、ミレッジ、雄平に許した計3本。そのうち「A」はライトスタンドまで運ばれた雄平への1本だけ、というのはさすがだった。
「雄平への一投は、フォークがストライクゾーンに甘く入った失投でしたね。藤浪は全般に、腕を思い切り振って投げるので、球種が分かりにくく、打ちづらい投手といえる」(セ球団のスコアラー・A氏)
評価は上々。しかし、早速欠点を見抜かれていた。
「長身(197センチ)から投げおろすストレートは威力十分だが、体が早く開くためシュート回転している。これが制球難を招き、コースが甘くなっている」(同前)
攻略のヒントもその「長身」にある。
「腕が長くてモーションが大きいのでクイックが下手。それに長身でフィールディングにも難がありそう。バントや盗塁で揺さぶれば攻略の糸口は見えてくる。本人もこれを気にして、セットになると背中を丸め、クイックや牽制をしやすくしているが、こうすると直球の制球難が増すので思う壺。キャンプ、オープン戦とフォームが変わっているから、色々試行錯誤しているようだ。
それに体はまだ成長段階。下半身が安定していないので、5回以降の投球にバラつきが出るのも狙い目」(セ球団のスコアラー・B氏)
さらにこのスコアラーは、「変化球を投げる時のクセが見つかったのは収穫でした」といったが、その内容だけは教えてくれなかった。
※週刊ポスト2013年4月19日号