1980年代から30年以上にわたって、テレビ界の最前線で活躍を続けているビートたけし(66)。いまでも多くのレギュラー番組に出演しているが、思えば1960年代後半から『コント55号』として活躍し、1980年代前半には『視聴率100%男』とまで呼ばれた萩本欽一(71)でさえ、1980年代半ばから人気に陰りが見え始め、1989年9月いっぱいで、レギュラー番組が消滅している。たけしは、なぜ時代が変わっても一線で居続けられるのだろうか? 放送作家のひとりはこう解説する。
「もちろん、たけしさんが還暦を超えても昔と変わらずに面白い、というのが大前提ですが、昨今、クレームに敏感に反応するようになったテレビ局の体質と大きく関係しているでしょう。
普通の人なら問題発言と騒がれることも、たけしさんがいうと、クレームが来にくいのです。『情報7days ニュースキャスター』(TBS系)というニュース番組で、ヤクザネタや下ネタなど危ないコメントをバンバン言い放っていますが、問題になることはないですよね。たけしさんだから、許されている発言です」
これが、既に引退してしまった島田紳助とたけしの差なのだという。放送作家が続ける。
「たとえば、紳助さんは暴力団問題で引退しましたが、たけしさんだって、暴力団との写真がかつて週刊誌に掲載されています。それでも、局が番組の存続を危ぶむことはありませんでした。これは、視聴者に『たけしが言うんだから』と権威として認められている証拠でしょう。サイレントマジョリティよりも、数少ないクレームに過敏に反応してしまう昨今のテレビ局としてはありがたい存在ですよ」
視聴者にクレームを言わせない存在感により、たけしの関わる番組が長寿番組になる傾向もあるという。テレビ局関係者が語る。
「『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ系)や、『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)などの長寿番組が生まれるのも、たけしさんの存在感によるところは非常に大きいでしょうね。ネット社会の今、クレームが来にくいタレントを使うのは大事なことです。『たけしさんの番組です』と言えば、代理店もスポンサーを取りやすい傾向もあります」
まだまだ、たけしブランドは健在のようである。