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勝つためなら何だってするカラーギャング 抗争に拳銃持参も

 2012年夏には、埼玉で「青」と「黒」の2つの対立するカラーギャングがぶつかり合い、3月末までに大量の逮捕者を出すという事態が起きた。カラーギャングはそれまでの不良集団とは違い、恐ろしい凶暴性を持っている。
 
 不良文化に詳しいジャーナリストが指摘する。
 
「かつての暴走族や愚連隊とギャングが違うのは、組織の構造です。彼らは仲間のことを“ファミリー”と呼ぶように、ヨコの強い連帯感で繋がっている。一方、暴走族らは先輩・後輩の上下関係が厳しく、組織に規律や掟がある。それがないギャングは集団心理の暴走に歯止めが効かず、どんなに残忍なことも“ノリ”でやってしまう傾向がある」
 
 たとえば、かつての不良たちには、「武器を使うのは卑怯。徒手格闘で正々堂々とケンカする」という文化があった。しかし、「銃社会アメリカ」にルーツを持つギャングたちに、そんなヤワな話は通用しない。
 
「同じ色のバンダナをすることが俺たちの唯一のルール。ケンカに勝てれば何でもいい。金属バットや鉄パイプに、ナイフやスタンガンは当たり前。研いだ模造刀や金属の特殊警棒、革に砂を詰めた警棒を振り回す仲間もいた。どこから調達したのか、ウチのリーダーは抗争のときに拳銃を持って来たな」(20代後半の黒ギャングOB)
 
 また、ギャングには旧来の日本のアウトローが持っていた「弱者は狙わない。強い相手に勝って名を上げる」という発想が薄い。
 
「大勢対大勢のケンカはほとんどない。去年の抗争事件のように、大人数で取り囲んで、少人数をボコボコにすることが多い。たとえば、敵対チームの街に行って、カラーを身につけているやつをクルマで拉致する。“俺は関係ない”など相手の言い分は一切無視。ひたすら暴行を加えて、身ぐるみ剥がして放り出す。今度は自分の街の誰かがさらわれて、ヤラれて帰ってくる。そしたらまたやり返す」(30代の青ギャングOB)
 
 暴力の対象は敵対するギャングだけではない。女性や高齢者などの弱者も躊躇なく標的にすることが、ギャングの恐ろしいところだ。
 
「抗争のとき、自分のチームとつるんでいる女が拉致されたことがあった。バットで殴られて、顔が丸くなって帰ってきた」(前出・黒ギャングOB)
 
 2004年には千葉の青ギャングが女子高生を拉致してわいせつ行為を繰り返した末に惨殺するという凄惨な事件も起きている。
 
 埼玉・桶川市をホームタウンにする青ギャングのメンバーは、高齢者をターゲットにした窃盗事件に関与していた。ショッピングセンターで「黒」に殴られた被害者の15歳(当時)の少年は、抗争事件の捜査の過程で、63歳や80歳の女性のバッグを路上でひったくった窃盗容疑が持たれ、逮捕されていたのだ。

※週刊ポスト2013年4月19日号

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