ビジネス

スタバのラテ価格で考慮すれば1ドル=121円まで円安進む

 10日には1ドル=99円台をつけたが、果たしてどこまで円安になるのか。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジストの植野大作氏はまだ円安トレンドが続くと予測する。

 * * *
 現状ではまだ円高修正の余地が残っている。私はさらに円安が進み、本年中にも100円台乗せがありえると予想している。その根拠を、日米の物価や金融政策の動向に照らして明らかにしたい。

 為替相場に影響を与える要因にはさまざまなものがある。中でも物価は中長期での影響力が大きい。ある国の物価が安いということはその国の通貨価値が実質的に高いことを意味し、物価が高ければ逆に通貨価値が低いことを意味する。物価は通貨の価値と裏表の関係にあるわけである。

 結論からいえば、日米の物価水準を比較すると、「もっと円安になってもおかしくない」と感じさせる価格差が残っている商品も結構ある。

 例としてスターバックスの主力商品のひとつ、「スターバックス ラテ」を比べてみよう。日本国内の価格は380円、米国(ニューヨーク)では3.15ドルだ。現状の1ドル=95円で換算すると米国のラテは約299円であり、日本のほうが高い。品質や味に違いが無いならば、本来、価格は同じはずだ。にもかかわらず日本よりも米国のほうが安いのは、円がドルに比べて割高、つまり対ドルで円高であることが作用している、といえる。

 では、1ドルが何円なら、日米のラテの価格が等しくなるのか? 3.15ドル=380円だから、〈380÷3.15〉で求められ、答えは1ドル=約121円(小数点以下四捨五入。以下同)となる。スタバのラテの価格だけを考慮するならば、121円まで円安になってもおかしくない。

 そのように為替レートの均衡点を求める考え方を「購買力平価説」という。為替理論としては最も古く単純だが、一定の説得力を持った学説として知られ、特に、具体的な品目を比較対象としたものを「絶対購買力平価」という。

 例えば、映画料金は、東京は1800円、ニューヨークは13.5ドルなので、1ドル=約133円になる。また、ジーンズのリーバイス「501」は日本の公式サイトでは1万2600円、米国の公式サイトでは64ドルなので、1ドル=約197円になる。

 こうしてみると、実感として、まだ円が高いことが理解できるはずだ。ただ、ここまでの例で気付くだろうが、絶対購買力平価はどんなモノやサービスを基準に計算するかによって、導き出される水準が違ってくるという欠点がある。マクドナルドのビッグマックを基準に算出すると1ドル=78円なので円高修正はもう十分進んだとみることも可能だ。

※SAPIO2013年5月号

トピックス

12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
宮崎あおい
《主演・大泉洋を食った?》『ちょっとだけエスパー』で13年ぶり民放連ドラ出演の宮崎あおい、芸歴36年目のキャリアと40歳国民的女優の“今” 
NEWSポストセブン
悠仁さまが2026年1月2日に皇居で行われる「新年一般参賀」に出席される見通し(写真/JMPA)
悠仁さまが新年一般参賀にご出席の見通し、愛子さまと初めて並び立たれる場に 来春にはUAE大統領来日時の晩餐会で“外交デビュー”の可能性も、ご活躍の場は増すばかり
女性セブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
会社の事務所内で女性を刺したとして中国籍のリュウ・カ容疑者が逮捕された(右・千葉県警察HPより)
《いすみ市・同僚女性を社内で刺殺》中国籍のリュウ・カ容疑者が起こしていた“近隣刃物トラブル”「ナイフを手に私を見下ろして…」「窓のアルミシート、不気味だよね」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト