中国の日本大使館によると、北京大学の研究(2012年)で、北京、上海、広州、西安で、PM2.5(粒径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質)を原因とした急性疾患で推計年間約8000人の死者が出ているという。
なぜ、それほどPM2.5は危険なのか。公衆衛生に詳しい河野公一・大阪医科大学教授は言う。
「10マイクロメートル以上の大きさの粒子は吸い込んでも気管支や気管の粘膜に捉えられ、粘液繊毛輸送系の働きによって痰と一緒に外に出て行く。
また0.1マイクロメートル以下の大きさの粒子は体内に取り込んでも、呼気と一緒に肺胞から排出される。その中間サイズのPM2.5は、気管支の粘膜に捉えられることなく肺胞の奥に到達し、喘息や気管支炎など呼吸系疾患や循環器系疾患の原因となる。ベンツピレンのような発がん物質も含まれているので、当然、発がんリスクも増すことになる」
※SAPIO2013年5月号