ビジネス

4Kテレビは2014年ブラジルW杯で試験放送開始 いつ買うか?

 当サイトでも度々取り上げてきた大型4Kテレビ。いまでも十分に高画質なフルハイビジョン(HD)のさらに4倍もの画素数を誇る「超高精細」が“売り”なのだが、消費者の関心はいまいち。ほとんど普及してこなかった。その一番のネックは価格だ。

「店頭でも展示していますが、なにせソニーの84型が168万円、シャープはそれよりも小さな60型なのに262万円もするため、お客さんは値札を見て素通り。HDの薄型テレビなら60型でも20万円台で買える時代ですからね」(大手家電量販店の店員)

 しかし、ようやく各社とも安価なモデルの発売に踏み切る。先陣を切ったのは、テレビ事業の度重なるリストラを経て再起を図るソニー。4月11日に発表した4K対応『ブラビア』(6月1日発売)の市場推定価格は、65型で75万円、55型で50万円。「1インチ1万円以下が普及のブレイクスルー」(業界関係者)と言われていただけに、その問題はほぼクリアしたことになる。

 ソニーに続いて廉価版4Kを出すと予告しているのが東芝だ。同社は4K開発のパイオニアで、2015年には58型以上の大型テレビの9割を4Kにすると鼻息も荒い。それだけに、価格競争力で他社に負けるわけにはいかない。

 たとえ普及価格帯の4Kテレビが出揃ったところで、まだ課題も山積する。家電ジャーナリストの安蔵靖志氏が解説する。

「いま4Kテレビを買っても放送コンテンツが4Kに対応していないため、HDと4Kの画質の違いが分かりにくいからです。総務省は来年ブラジルで開かれるサッカー・ワールドカップの決勝トーナメントに合わせるように4K試験放送を始める予定ですが、それを見るのにも別途チューナーを買わなければキレイな画質を堪能できない可能性が高い」

 高額商品のうえに、さらに出費が必要となれば、わざわざ先走って4Kテレビに買い替える必要もない。そこで、ソニーが打ち出しているのが画質プラスアルファの付加価値である。

 新型4Kブラビアは、デジカメやスマホで撮った静止画や動画を簡単に4Kテレビに映し出せる機能を搭載しているものの、『Xperia』はじめソニー製の機器にしか連動しないなど、現段階で汎用性が高いとはいいがたい。対する東芝も番組を何日分か自動でまるごと録画する機能を4Kテレビでも進化させるはずだが、どこまで消費者の興味を引けるかは未知数だ。

 果たして4KテレビはHDに取って代わる存在になれるのか。それとも期待先行で3Dテレビのように沈んでしまうのか。

「海外では中国の海信集団(ハイセンス)や台湾メーカーが日本勢よりも安価な4Kテレビを出しているので、すでに価格競争では太刀打ちできません。となると、ソニーのように大型でハイスペックの機種に絞って勝てるケンカをするしかありません。もう生産縮小や撤退といった決断は取りたくないでしょうしね」(前出・安蔵氏)

「テレビを絶対にコモディティ化(一般化、大衆化)しない」と、発表会でも繰り返していたソニー業務執行役員の今村昌志氏。4Kテレビの普及は、日本メーカーの威信をかけた戦いともいえる。じゃあ、いつ買うか?

関連キーワード

関連記事

トピックス

再ブレイクを目指すいしだ壱成
《いしだ壱成・独占インタビュー》ダウンタウン・松本人志の“言葉”に涙を流して決意した「役者」での再起
NEWSポストセブン
来春の進路に注目(写真/共同通信社)
悠仁さまの“東大進学”に反対する7000人超の署名を東大総長が“受け取り拒否” 東大は「署名運動について、承知しておりません」とコメント
週刊ポスト
司忍組長も傘下組織組員の「オレオレ詐欺」による使用者責任で訴訟を起こされている(時事通信フォト)
【山口組分裂抗争】神戸山口組・井上邦雄組長の「ボディガード」が電撃引退していた これで初期メンバー13人→3人へ
NEWSポストセブン
『岡田ゆい』名義で活動し脱税していた長嶋未久氏(Instagramより)
《あられもない姿で2億円荒稼ぎ》脱税で刑事告発された40歳女性コスプレイヤーは“過激配信のパイオニア” 大人向けグッズも使って連日配信
NEWSポストセブン
俳優の竹内涼真(左)の妹でタレントのたけうちほのか(右、どちらもHPより)
《竹内涼真の妹》たけうちほのか、バツイチ人気芸人との交際で激減していた「バラエティー出演」“彼氏トークNG”になった切実な理由
NEWSポストセブン
ご公務と日本赤十字社での仕事を両立されている愛子さま(2024年10月、東京・港区。撮影/JMPA)
愛子さまの新側近は外務省から出向した「国連とのパイプ役」 国連が皇室典範改正を勧告したタイミングで起用、不安解消のサポート役への期待
女性セブン
チョン・ヘイン(左)と坂口健太郎(右)(写真/Getty Images)
【韓国スターの招聘に失敗】チョン・ヘインがTBS大作ドラマへの出演を辞退、企画自体が暗礁に乗り上げる危機 W主演内定の坂口健太郎も困惑
女性セブン
第2次石破内閣でデジタル兼内閣府政務官に就任した岸信千世政務官(時事通信フォト)
《入籍して激怒された》最強の世襲議員・岸信千世氏が「年上のバリキャリ美人妻」と極秘婚で地元後援会が「報告ない」と絶句
NEWSポストセブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン