就職難が続く昨今、面接の自己PRでいかに人と差別化するかに熱意を燃やす学生の姿も見受けられる。「わざと金髪で面接に行く」「面接の時、一升瓶を一気飲みした」「名刺を手裏剣にして面接官に投げた」「集団面接で土下座をした」──。就職活動中の学生に話を聞くと、こんなエピソードも登場した。
しかし、人事側からは、こうした個性アピールにも“笑えない”ものがあるといい、なかにはとんでもないことを言い出す学生もいるという。都内の大手メーカーで新卒採用を担当するA氏(34歳)は、面接で出会った「高学歴コミュ障」の学生について次のように話す。
「最近驚いたのは、国立大学トップの理系学生の面接でした。学歴を見ると、なにも欠点がないようなプロフィールなのですが、口を開きはじめた瞬間から、何かおかしかったんです」
いったい何があったのだろうか。A氏が続ける。
「こちらが『10分間自己PRをお願いします』というと、その学生は『初対面の他人に私は自分のことを10分間も話す義務はありません。通常、相手のことを知りたいと思うのならば、そちらが10分間の自己紹介をするのが道理なのではありませんか。では、そちらの自己紹介を10分間でお願いします』というんですよ。面接官一同、唖然としてしまって返す言葉もありませんでした」
もちろん、この男子学生は面接で落とされたという。自分なりに考えた突飛なアイデアなのかもしれないが、面接官に不快感を与えてしまっては元も子もない。