91才の現役ピアニストとして知られる室井摩耶子さんは、7月のコンサートを控えて、大雑把にいえば、「ピアノを弾いているか」「食べているか」「寝ているか」の生活を送っているという。91才の現在も、コンサートがある日は朝から牛フィレ肉のステーキを100g食べるという。普段でも週に6日は肉を食べるという超肉食派だ。
「私は91才まで長生きするために、肉を食べてきたわけではないんですよ。ただ、ピアノを弾くための体力と集中力をつけるために、上質の肉を食べ続けてきただけなんです。だってモーツァルトやベートーベンなどの天才たちが楽譜に詰め込んだ音楽哲学って本当に深いんですもの。それをお伝えするのは本当に大変なことなんです」(室井さん・以下同)
肉を食べ始めたのは、35才でドイツに留学したころから。一緒に学んでいたドイツの女子学生は、とにかくタフ。夜半過ぎまでパーティーで飲んで騒いでいても、翌朝6時には起きてピアノに向かっている。
このエネルギーと競争しなければならないのか…と慄然としたという室井さん。そこで気がついたのが肉だった。ドイツは農業国。肉がおいしく、しかも安いので、室井さんは、女子学生を見習って、次第に肉をよく食べるようになっていった。
「あるとき、日本から来たお客さんと和食を食べました。するとその後、なぜかピアノの練習に1時間も集中できないんです。片付いていない部屋の隅に目がいき“あそこを片付けなきゃ”とか、ピアノ以外のことを考えてしまうんですね。肉を食べているときは、4時間は集中して練習ができていたのに……。やはり肉の力は大きいと、身をもって知りました」
それからは、ずっと肉食。ピアノを弾くためのエネルギーを肉からもらっているからお肉を食べるの、と室井さんは話す。
しかも肉にはランクがあり、スープに使うような肉よりも、上質で高価なフィレ肉のほうが、エネルギーも集中力も持ちがいいことがわかった。
「どうしてもフィレ肉は高価だから、財布のがま口が“そんなに高い肉を買ったらダメでしょ”とか文句を言うんですよ(笑い)。でも“ピアノのためだから黙ってらっしゃい”と言い聞かせて、フィレ肉を買ってましたね。なにしろエネルギーの持ちが全然違うんですもの。まあ、エネルギーだけじゃなくて、高い肉のほうがおいしいという理由もありますけど(笑い)」
ドイツにいたころは生肉が安全に食べられたので、タルタルステーキにして食べていたという室井さん。日本では、フィレ肉をさっと焼いたレア状態で、塩こしょうのみで食べるのが好きだとか。
※女性セブン2013年4月25日号