芸能

カフェでタイヤ学び男を喜ばせる石原さとみに違和感ありの評

 テレビを通じて目に飛び込んでくるCM。企業や商品を訴求したい送り手の意図や計算とはまったく異なる感触を受け手が抱くこともある。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が今回言及したのは、日本を代表するものづくりメーカーのCMである。

 * * *
 カフェのマスターは、落ち着いたイケメン。聞いたことについて一つ一つ丁寧に解説してくれる。カウンターに座る常連のお客さんは、目のクリっとしたかわいらしい女性。

 ブリジストンの「TAIYA CAFE(タイヤカフェ)」のCMです。

 架空のカフェの店長を演じるのは長瀬智也。常連客は石原さとみと数人のオトコたち。2年ほどシリーズで続いてきたCMだから、ご覧になった方も多いことでしょう。

 CMの内容は、エコタイヤに使われる環境技術の解説、といったことにとどまりません。タイヤの形を模したロールケーキに、タイヤをデザインした椅子やスプーンと、遊び心満載。車に比べると地味な「タイヤ」という商品を、なんとか世間一般に認知してもらいたい――タイヤメーカーの必死の努力がひしひしと伝わってくるようです。

「“お堅い”一新 女性の心に刺さる」(『Sankei Biz』2012.12.17)と、ジャーナリズムもこのCMを評価しているもよう。

 ブリヂストンはご存じ、日本を代表する、世界最大級のタイヤメーカー。モータースポーツなどを通じて、「中高年の男性に対しては力強いブランドイメージが定着し好感度も高いが、若者や女性に対するアプローチは今ひとつで、ブランドに対する理解度も高くなかった」(同)と同社の宣伝マンも自覚しています。

 つまり、お堅い企業イメージの転換を目指して、「女性の心に刺さるコミュニケーション方法はないか」と一大決心し、「タイヤカフェ」という柔らかいCMを投入したのだとか。

 でも。このCMに違和感を感じている人って、はたして私だけでしょうか?

 たとえば最近のCMの一言。

「私、ついていく~」

 石原さとみ演じるお客さんはいつも、カフェのマスターの顔を見上げて、解説をお聞きする役。さすが知識豊富な「男らしい」マスター。私にもっと知識を教えてください……的な構図自体が、あまりに通俗で古風。どこか時代とズレてはいないでしょうか。

 かつて、ブリジストンを取材した時のこと。エコタイヤ開発に携わった方は言っていました。

「スピードや走り、静けさと乗り心地という従来のテーマに対して、まったく新しい第三のテーマが出てきたのです。エコです」

 エコタイヤ「エコピア」は、その消費者像として女性たちを思い浮かべているというのです。オトコだらけのタイヤ売り場に、オンナの姿が増えて欲しい、と切に願っているのだと。 いよいよ環境や次世代のことを考え、タイヤが選ばれる時代がやって来た。その時、主人公は、オトコからオンナへと変わっていくだろう。取材現場でそんな話が盛り上がりました。

 でも、このCMを見ていると、本当にそうなのかな~。

 正しい知識を豊富に持っているのは、いつもオトコ。お話を拝聴するのはいつも、何も知らないオンナ。えっすごい、ほんとー。知らなかったぁ。ついていきまーす。心にもない誉め言葉を繰り出して、感心したフリをしオトコを喜ばせる常套手段。「タイヤカフェ」の登場人物図って、そんなことを思い起こさせる。

 このCM世界、男の古い幻想の中に未だとどまっていませんか?

 そう感じさせられてしまう時点で、すでにこのCM、ちょっと違う意味で「女性の心に刺さって」くる。オトコだらけのタイヤ売り場に、これで新たな客層が増殖していくのでしょうか? それとも、タイヤ選びは「オトコに任せとけ」の世界がこれからも続いていくのでしょうか?

関連キーワード

トピックス

100円ショップ(写真提供/イメージマート)
《100円という呪縛》物価上昇と円安に苦しむ100円ショップ 「一度100円と思い込まれたものを値上げするのは難しい」と店主が嘆く
NEWSポストセブン
中国人インフルエンサーがカンボジアの路上で変わり果てた姿で発見された(TikTokより)
「クスリを支配の道具に」「行為中に使う客層も…」変わり果てた中国人美女インフルエンサーが保護されたシアヌークビル、専門家が語る現地アングラ界隈のリアル
NEWSポストセブン
木原龍一、三浦璃来(写真/AFLO)
【ミラノ・コルティナ冬季五輪】小塚崇彦さんが解説するフィギュアスケート日本代表の強さ 世界王者「りくりゅう」だけじゃない「史上最強の代表陣」
米・ミネソタ州でICEの職員が女性に向けて発砲し死亡した事件が起きた(時事通信フォト)
【本当に正当防衛か?問題動画検証】米・ミネアポリスで移民当局が女性射殺 国と市長が異例の対立…「女性が抵抗」トランプ大統領・「狂った左派」バンス副大統領vs.「でたらめだ」市長
NEWSポストセブン
沖縄県警の警察官が、「ガサ(家宅捜索)」に入った女性の勤務先に押しかけるという事案が発生(左/共同通信社)
《「恋した」「すっぴんがかわいい」と…》沖縄県警捜査員が“ヤミ金事件”捜査女性の勤務先に押しかけ、迫って、批判殺到 “パスポートを押収し、逆らえない状況でエイサーに誘った”
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
〈自慢のロングヘアがボサボサに…〉中国美女インフルエンサー(20)、精神に異常をきたして路上生活…母親が電話で抱いた疑念「話し方を指示されているのでは」【高給求めてカンボジアに渡航も】
NEWSポストセブン
月9ドラマ『絶対零度』で主演を務めた沢口靖子
《60歳とは信じられない美姿勢》沢口靖子、“本人も継続を断念”した『科捜研の女』完結後は…各局が熱視線を送る理由
NEWSポストセブン
秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《不敬どころの騒ぎじゃない》秋篠宮家・佳子さまも被害に…AIを用いた性的画像の被害が世界的問題に 専門家が指摘「男女問わず人権侵害」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《もう家族でハワイに行けない…》“1.5億円の脱税疑惑”の宮崎麗果、“ESTA取得困難”で恒例の「セレブ旅行」は断念か SNSで「深い反省」示す
NEWSポストセブン
元旦に離婚を発表した吉岡美穂とIZAM(左・時事通信フォト)
《3児の母・吉岡美穂がIZAMと離婚》夫のために「“鬼嫁キャラ”を受け入れた妻の想い」離縁後の元夫婦の現在
NEWSポストセブン
2026年1月2日、皇居で行われた「新年一般参賀」での佳子さま(時事通信フォト)
《礼装では珍しい》佳子さまが新年一般参賀で着用、ウエストまわりに“ガーリー”なワンポイント 愛子さまは「正統的なリンクコーデ」を披露
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
〈抜群のスタイルとルックスが一変…〉中国人美女インフルエンサーが示唆していた「潘親方(特殊詐欺グループのボス)」との“特別な関係”とは《薬物検査で深刻な陽性反応》
NEWSポストセブン