秋篠宮家の長男、悠仁親王がお茶の水女子大附属小学校に入学された。現行の皇室典範のもとでは、将来、悠仁親王が唯一の皇位継承者となる可能性もある。悠仁親王への「帝王学」教育は、すでに始まっている。そしてそれは小学校入学を機に、いよいよ本格的なものとなる。
「帝王学」とは、古典を学ぶことだけにとどまらない。
かつて昭和天皇も今上天皇も、皇太子時代には東宮御学問所において、当代随一といわれる最高級の学者や指導者たちから、さまざまな分野について直々に教育を受けてこられた。
今上天皇は東宮参与だった小泉信三氏(慶應義塾長などを歴任)から福沢諭吉の著作『帝室論』やハロルド・ニコルソンの『ジョージ5世伝』をもとに学んだという。また、アメリカ人家庭教師のバイニング夫人から英語と外国のマナーを教わったことも有名だ。
戦後はGHQの方針で東宮御学問所での教育は行なわれず、一般の学校で国民と同じ教育を受けるようになったが、それでも皇太子は学校での授業以外に一流の学者からマンツーマンで指導を受けている。
皇太子の幼少時は、浜尾実東宮侍従や、旧華族の黒木従達東宮侍従長という人物がいて、皇室全般についてのことや御所での生活、国民との接し方、公的な仕事、礼儀作法など、ありとあらゆることを教えていた。
同時に、皇太子は家庭でも厳しい躾を受けてきた。例えば食卓においては、テーブルマナーのほか、食べ物に好き嫌いのないよう徹底的にしつけられた。当時、美智子妃はときには嫌いな食べ物をあえて食卓に並べ、浩宮が食べ終わるまで食堂を出ることを許さなかったという。浩宮は食堂で涙を流しながら最後まで懸命に食べたそうだ。
食べ物の好き嫌いについて徹底した躾を行なったのは、やがて皇太子・天皇として公務を行なったときに、来日した外国の要人との会食や、海外訪問の際にテーブルに出された料理に「苦手」がないようにしておくためだったという。
学習院に通う車中では、当時皇太子だった今上天皇は浩宮に「新聞で読んだその日の出来事」について話すよう命じていたともいう。常に世の中の出来事を知っておかなければならないという、これもまた帝王学教育の一環だったに違いない。
こうした教育の賜物だろう。皇太子の見識は広く、そして深い。特に歴代天皇の事績など皇室の歴史についての知識は、周囲が舌を巻くほどだという。
また、宮中祭祀にのぞむ今上天皇の厳粛な姿を間近で見てきたことから、祭祀を通じて国家、国民の安寧を祈るという天皇の本質を、しっかり受け継いでいる。
将来、天皇となる可能性がある悠仁親王に対してもまた、その跡を継ぐべき教育が行なわれていくことになるはずだ。
※週刊ポスト2013年4月19日号