夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、ご主人(57歳)が印刷会社勤務の奥様(55歳)。孫の入園式での出来事です。
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「参ったよなあ。父親と間違われちゃったよ」
言葉とは裏腹に満面の笑みで帰ってきた主人。入園式の前の体験入園で、主人が娘夫婦の代わりに孫を連れて行ったんです。そしたら職員から「お父さんはこちらに座ってください」といわれ、「父親ではなく、祖父です」と訂正すると、「それは失礼しました」と謝られたのだとか。 「若く見えたんだろうけど」とご機嫌な主人に水を差したくありません。
でも、私、遊園地で働く知り合いから聞いてました。「最近は加藤茶さんみたいに年の差婚もあるから、おじいちゃんとお孫さんだと思っても、失礼があってはいけないから、『お父さん』と呼んでるの」と。
入園式も「オレたちが連れて行く」と主人がいうので、私も付いて幼稚園へ。私たちを見た職員が、孫に「よかったねぇ、おじいちゃんとおばあちゃんと一緒で」といった途端に、主人の表情がゆがみ、しばらく沈黙が。そして「わかった! ババアのお前と一緒だから、『パパ』ではなく、『おじいちゃん』といわれるんだ。不愉快だ。帰る!」
すると孫が、「ジイジ、バイバイ!」「いや、あの、その……本当に帰るのではなく……」狼狽する主人。「孫もそういってるんだし、帰りなさいよ。ジジイ!」あ~、スッキリ!
※週刊ポスト2013年4月19日号