震災後から、浄水器の普及率が急速に伸びている。浄水器協会の調査によると、国内の浄水器普及率は1999年の調査開始から2009年までは30%前後で推移していたが、震災のあった2011年には一気に40%近くまで伸びており、関心が高くなっていることがわかる。
震災後、浄水器協会には問い合わせの電話が殺到したという。浄水器協会事務局長の植田尚孝さんが当時をこう回想する。
「東京の金町浄水場で乳児飲用基準を超える放射性ヨウ素が検出されたときには“浄水器で放射性物質が除去できるのか”という問い合わせが急増しました」
しかし、当時は正確なデータがなく、さまざまな研究機関の独自の試験によって、放射性ヨウ素が除去できたり、できなかったりという曖昧な調査結果が出回っていた。
「そこで、協会は約1年かけて、浄水器規格の国際的な認証機関と連携し研究を行いました。原子力発電所の事故などによって飛散される放射性物質の大部分は、放射性セシウムと放射性ヨウ素ですが、放射性セシウムは水道水浄水過程で除去されるので、放射性ヨウ素について実験を行った結果、一般的な浄水器での除去は難しいですが、RO浄水器(逆浸透膜浄水器)では除去できることがわかりました」(植田さん)
最近では、ポット型やタンブラー型などさまざまなタイプがあり、手軽に水道水を飲みやすくするものも注目を集めている。
こうした安全性に加えて、その利便性も見逃せない。
「蛇口からすぐに出てくる水道水がおいしくなれば、飲み水や家事にも安心して使えます。ペットボトルのミネラルウオーターをわざわざ買いに行く手間も必要なくなりますから」(植田さん)
※女性セブン2013年4月25日号