50代を超えても30代に見えるドクター・南雲吉則先生が女性セブン読者の健康に関する相談に答えるコーナー。今回は動物の寿命に関する相談に回答する。
【相談】
うちの犬は今年で10才になりますがまだまだ元気です。人間もどんどん寿命が延びていますが、どうしてですか?(メロンパン・46才・主婦)
【回答】
最近のペットは確かに長生きになってきているよね。今日はその原因について考えてみよう。
ペットが長寿になった理由のひとつは食生活の変化。ご飯にみそ汁をかけたものや、人間が食べた残り物が餌だった昔と違って、今のペットは高級なドッグフードや缶詰を与えられたりしているから、栄養状態が抜群によくなったんだね。
さらに生活環境がよくなったことも長寿につながっている。例えば昔の犬って、番犬として、寒くても暑くても必ず屋外の犬小屋で過ごすことが多かった。
ところが今は、大型・小型を問わず、人間と同じ室内で暮らす犬や猫も多い。散歩のときには洋服を着せてもらっている犬もいるよね。
こんな風に、生活環境がよくなって、犬や猫の体にかかる負担が少なくなったことも、寿命が延びたことと関係しているんだよ。
そして、長生きになったいちばんの理由は、医療の発達。今までは亡くなることが多かった病気や事故も、最新の医療によって助かるようになった。
ペットが長寿になったこれらの理由は、すべて人間にも共通していることだね。人間も食生活が豊かになり、生活環境が快適になり、医療が進歩したことによって、どんどん寿命が延びてきた。
ただ、人間もペットも、食べ物や生活環境がよくなり、医療が進歩したことは、決して喜ばしいことだけではない。
食生活が豊かになることで、食べる量が増え、糖尿病やがん、脳卒中、心臓病などの病気にかかる確率が高くなってきたんだ。
厳しい環境で暮らさなくなったことによる、弊害もある。人間もペットも、昔は自然に移り変わる気候や日夜の寒暖差がある中で、寒くて震えたり、汗をかいたりしながらも、自ら体温調節をしながら生きてきた。でも今は、リモコンのボタンひとつで好みの温度に調節できるような、快適な家の中で暮らしている。
屋外で飼われている犬にしても、昔にくらべるとずいぶん環境がよくなった。そのため、抵抗力が弱くなって風邪を引きやすくなったり、病気にかかりやすくなったという側面もあるんだ。
※女性セブン2013年4月25日号