明治24年、世界に通用するスポーツエリートを養成する機関として建学された日本体育大学(以下、日体大)。体育・スポーツの総合大学としてドイツスポーツ大学ケルン、北京体育大学を凌ぐ歴史と伝説を誇る日体大は、過去の五輪でも多数のメダリストを輩出。ロンドン五輪では日本の総メダル数の約4分の1にあたる10個を獲得するなど、世界でもめざましい活躍を見せている。
この4月、日体大の研究員から児童スポーツ教育学部の教員となった昨年のロンドン五輪体操女子代表の田中理恵(25)は、母校についてこう語る。
「体育大学はスポーツにひたすら打ち込む場所と思われがちですが、ここは違います。日体大には優れた指導者や同じ目標を持ち切磋琢磨する仲間がいて、選手としてだけでなく人間としても成長できる。既に7年もいますが、これからもお世話になりたい。私にとっては単なる学校以上の存在です」
田中は現在、放課後になれば体操競技部のコーチとして後輩を指導する毎日だ。
「今年1年は競技は休み、ケガの治療と教員としての活動に励みます。今はまだ周囲の先生のアシスタント程度しかできませんが、ゆくゆくは児童期における体育の重要性を学生たちに伝えていきたいです。実はまだ『先生』と声をかけられてもピンときてない。違和感ありますね(笑い)」(田中)
撮影■江森康之
※週刊ポスト2013年4月26日号