ビジネス

株式相場 7年で5倍のサイクル入りで2016年に3万5000円予測

 2013年、日本はデフレ経済の「失われた20年」を脱出し、異次元の上昇相場を迎える──。昨年10月、まだ「アベノミクス」という言葉さえなかったころ、本誌インタビューでそう予測したのは「経済の千里眼」こと、菅下清廣氏(国際金融コンサルタント)だ。独自の「波動理論」から導き出される未来予測には、政財界の要人たちも注目する。この上昇相場はいつ、どこまで続くのか。菅下氏が緊急分析した。

 * * *
 昨年11月中旬にスタートした株価上昇は、この3月から4月上旬にかけて、注目すべき局面を迎えました。それまで一本調子で上がってきた株価が突然ストップし、約1か月間、日経平均株価が1万2500円付近で揉み合ったのです。

 相場の世界には「半値戻しは全値戻し」という格言があります。株価が底値をつけて上昇を始めたとき、直近の最高値からの下落分の「半値」を回復すれば、最高値まで再び上昇する。逆に、「半値」まで戻さなければ、下落局面に舞い戻るという意味です。半値を超えるか、超えないか――その攻防戦こそ、プロの相場師たちが最も注目するポイントなのです。

 日経平均1万2500円付近は、まさにその半値でした。リーマン・ショック前につけた1万8261円(2007年7月9日)を最高値、ショック後につけた7054円(2009年3月10日)を最安値とすると、半値戻しは1万2500円近辺になる計算です。

 3月半ば、その近辺で上昇がピタリと止まった。そこは、その後の上昇と下降を占う重大局面でした。

 そこで黒田東彦・日銀新総裁が放ったのが「黒田バズーカ」でした。4月4日、総裁就任後初めての金融政策決定会合で、市場の予想を上回る金融緩和を決定。その直後、株価は一気に上昇して、1万3000円を超えた。「半値戻し」を突破したわけです。

 その時点で次の目標値が「全値戻し」であることがはっきりしました。今後、株価は1万8000円を目指す展開になると予測できます。

 材料も十分に揃っています。日本の株式市場を左右するのは、今も昔も外国人投資家の動向です。英『フィナンシャル・タイムズ』紙が、「黒田バズーカ」の発表の翌日に〈日本が金融革命を始めた〉という記事を掲載したように、いま世界のマネーは日本を目指しています。

 日本の他に行く場所がないともいえます。ユーロは信用不安が払拭しきれず、アメリカはダウ平均の史上最高値更新によって高値警戒感が出てきています。数年前まで世界経済を牽引したBRICs経済も環境汚染や鳥インフル禍で揺れる中国を筆頭に、目を覆わんばかりです。

 1万8000円を超えていくならば、その先に見えるのは近年稀に見る大相場です。過去の大相場を見ると、おおよそ7~8年で5倍になっていることがわかります。

 7~8年の波動といえば、「設備投資循環=ジュグラー・サイクル」が知られています。社会的にブームになる新商品が開発されたり、企業の設備が新しいものに更新されたりするスパンを考えると、7~8年が1つのサイクルになると考えられています。現在の上昇相場の出発点を、2009年3月の7054円だとすれば、2016年に約3万5000円という数字も見えてきます。

※週刊ポスト2013年4月26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

再ブレイクを目指すいしだ壱成
《いしだ壱成・独占インタビュー》ダウンタウン・松本人志の“言葉”に涙を流して決意した「役者」での再起
NEWSポストセブン
来春の進路に注目(写真/共同通信社)
悠仁さまの“東大進学”に反対する7000人超の署名を東大総長が“受け取り拒否” 東大は「署名運動について、承知しておりません」とコメント
週刊ポスト
司忍組長も傘下組織組員の「オレオレ詐欺」による使用者責任で訴訟を起こされている(時事通信フォト)
【山口組分裂抗争】神戸山口組・井上邦雄組長の「ボディガード」が電撃引退していた これで初期メンバー13人→3人へ
NEWSポストセブン
『岡田ゆい』名義で活動し脱税していた長嶋未久氏(Instagramより)
《あられもない姿で2億円荒稼ぎ》脱税で刑事告発された40歳女性コスプレイヤーは“過激配信のパイオニア” 大人向けグッズも使って連日配信
NEWSポストセブン
俳優の竹内涼真(左)の妹でタレントのたけうちほのか(右、どちらもHPより)
《竹内涼真の妹》たけうちほのか、バツイチ人気芸人との交際で激減していた「バラエティー出演」“彼氏トークNG”になった切実な理由
NEWSポストセブン
ご公務と日本赤十字社での仕事を両立されている愛子さま(2024年10月、東京・港区。撮影/JMPA)
愛子さまの新側近は外務省から出向した「国連とのパイプ役」 国連が皇室典範改正を勧告したタイミングで起用、不安解消のサポート役への期待
女性セブン
チョン・ヘイン(左)と坂口健太郎(右)(写真/Getty Images)
【韓国スターの招聘に失敗】チョン・ヘインがTBS大作ドラマへの出演を辞退、企画自体が暗礁に乗り上げる危機 W主演内定の坂口健太郎も困惑
女性セブン
第2次石破内閣でデジタル兼内閣府政務官に就任した岸信千世政務官(時事通信フォト)
《入籍して激怒された》最強の世襲議員・岸信千世氏が「年上のバリキャリ美人妻」と極秘婚で地元後援会が「報告ない」と絶句
NEWSポストセブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン