日本列島が暴風雨に見舞われた翌日の4月7日、嘘のように晴れ渡った空を見上げた川崎市民は、「神様のおかげだ」と呟いた。もっともその神様は、「男根」の形をしているのだが──。
毎年4月に川崎市の若宮八幡宮・金山神社で行なわれる「かなまら祭り」に、今年は過去最高となる約5万人が大挙した。この祭りがそれほどの注目を集める理由を、中村博行・宮司が解説する。
「当神社に祀られる金山比古神と金山比売神は鉱山を司る神ですが、鍛冶に使われる鞴(ふいご)が夫婦の和合を表わし、鞴のピストン運動が男女の性交を連想させることから、性神としても信仰を集めている。『かなまら様』という男根を象ったご神体が注目を集め、近年は子宝祈願の若者や外国人観光客などで、10年前に比べ祭りの参加者が10倍にも増えています」
いまやその集客力は、日本全国の「男根祭」で最大規模だという。いざ祭りを見渡すと、男根神輿に男根菓子など、性器オブジェの大行列だが、参加者は恥じるそぶりもなく撫で回す。「性的興奮を呼ぶものではなく神聖なものだから、テレビがモザイクをかけて放送したときは神社として抗議した」(同宮司)とのこと。
参加者の3分の1ほどが外国人で、参加した20代の英国人女性2人(共に英語講師)は、木の男根にまたがりながら、「浅草のバーで祭りのことを聞いてきた。グレート、クレイジー、ファニー、ジャパンストロング!」と語っていた。
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2013年4月26日号